労働基準法 【坑内業務、危険有害業務の就業制限】 【産前産後の休業】他 

【坑内業務の就業制限】 (法64条の2)

【問題】使用者は、労働基準法第64条の2の規定により、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後!年を経過しない女性については、坑内で行われる業務に就かせてはならないが、それ以外の女性については、男性と同様に坑内で行われる業務に就かせることができる。

(平成20年 問6A)
【解答】×
【解説】(法64条の2)
妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性
⇒坑内で行われるすべての業務に就かせることはできない。
■上記以外の女性についても坑内で行われる業務のうち⇒人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるものについては就かせることができない。


【危険有害業務の就業制限】 (法64条の3)

【問題】妊娠中の女性を労働安全衛生法施行令第1条第3号のボイラーの取扱いの業務に就かせてはならないが、産後1年を経過しない女性がその業務に従事しない旨を使用者に申し出ていないときには同号のボイラーの取扱いの業務に就かせることができる。

(平成23年 問7D)

【解答】○

【解説】(法64条の3、女性則2条)
■就業制限に関しての設問。
ボイラーの取扱いの業務⇒
①妊婦については禁止
②産婦については女性が申し出た場合は禁止
③その他の女性は就かせることは可能。

■併せて、重量物を取り扱う業務⇒妊婦・産婦・その他の女性ともに就業禁止。


【産前産後の休業】 (法65条)

【問題】労働基準法第65条第3項においては、「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」と規定されているが、派遣中の派遣労働者が同項の規定に基づく請求を行う場合は、派遣元の事業主に対してではなく、派遣先事業主に対して行わなければならない。

平成25年 問4D)
【解答】×
【解説】(法65条3項)
■「派遣先事業主」⇒「派遣元事業主」にすれば正しい。


【問題】労働基準法では、「妊産婦」は、「妊娠中の女性及び産後6か月を経過しない女性」とされている。

平成25年 問4C)
【解答】×

【解説】
■「産後6か月」⇒「産後1年」にすれば正しい。


【問題】使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第65条に規定する産後休業を与える必要はない。

平成25年 問4B)
【解答】×
【解説】(法65条)
■「必要はない」⇒「必要がある」にすれば正しい。
■出産⇒妊娠4カ月以上の分娩とし、生産のみならず死産をも含む。


【問題】使用者は、労働基準法第65条第2項の規定により、産後8週間を経過しない女性については、その請求のいかんにかかわらず、就業させてはならない。

(平成20年 問6B)

【解答】×

【解説】(法65条2項)
■使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。
■ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合⇒その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能。


【問題】労働基準法第65条第3項の規定に基づき、使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。この場合、使用者は、原則としてその女性が請求した業務に転換させなければならないが、新たに軽易な業務を創設して与えるまでの必要はない。

(平成17年 問5E)
【解答】○

【解説】(法65条3項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)
■新たに軽易な業務を創設してまで転換させる必要はない。
■あくまでこの規定が適用されるのは妊娠中の女性のみ。


【問題】6週間以内に出産する予定の女子が、労働基準法第65条の規定により休業したところ、予定の出産日より遅れて分娩し、産前休業の期間が、結果的には産前6週間を超えた場合に、当該超えた部分の休業期間は、労働基準法第39条(年次有給休暇)第1項及び第2項の規定の適用については、出勤したものとみなす必要はない。

(平成18年 問6B)

【解答】×

【解説】(法39条、法65条、昭和23年7月31日基収2675号)
■6週間以内に出産する予定の女性が、法65条の規定により休業したところ、予定の出産日より遅れて分娩し、結果的に産前6週間を超える休業は、出勤したものとして取扱う。


【問題】産前産後休業に関する労働基準法第65条でいう「出産」とは、妊娠4か月以上(1か月は、28日として計算する。)の分娩(生産のみならず死産をも含む。)をいうとされているところから、使用者は、妊娠100日目の女性が分娩した場合については、同条に規定する産後休業を与えなければならない。

(平成18年 問3B)

【解答】○

【解説】(法65条、昭和23年12月23日基発1885号)
■出産とは妊娠4か月以上(1か月は28日として計算。つまり4か月以上というのは85日以上のことになります。)の分娩。

■生産のみならず死産(人工妊娠中絶は含まれる)も含む。
■設問では、妊娠100日目の女性が分娩した場合ということで、産後休業を与える必要がある。


【問題】使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないが、この規定は、妊娠中の女性であって管理監督者に該当するものにも適用される。

(平成15年 問6C)

【解答】○

【解説】(法41条、法65条3項)
妊娠中の管理監督者から請求があった場合⇒他の軽易な業務に転換させなければならない。 


【問題】使用者は、労働基準法第65条第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

(平成19年 問7B)
【解答】×

【解説】(法65条3項)
■使用者は、妊娠中の女性が請求した場合他の軽易な業務に転換が必要
■あくまで、妊娠中の女性であり、産後1年を経過しない女性は該当しない。


【問題】妊娠中の女性は、労働基準法第65条第3項による軽易な業務への転換の請求及び同法第66条第3項による深夜業をさせないことの請求のいずれか一方又は双方を同時に行うことができる。

(平成19年 問7C)

【解答】○

【解説】(法65条3項、法66条3項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)
■設問のとおり正しい。


【妊産婦の時間外労働等の制限】 (法66条)

【問題】使用者は、労働基準法第66条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならないが、この第66条第2項の規定は、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦にも適用される。

(平成19年 問7D)

【解答】×

【解説】(法41条2号、法66条2項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)
■一般の妊産婦と管理監督者の妊産婦の違いの設問。
■一般の妊産婦は、請求すれば、時間外・休日・深夜業の就労は不可。
■管理監督者の妊産婦は、時間外・休日は就労可能。
ただし、深夜業は請求により就労不可


【問題】使用者は、労働基準法第36条第1項に基づく労使協定が締結されている場合であっても、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性が請求した場合においては、同法第41条各号に掲げる者である場合を除き、時間外労働又は休日労働をさせてはならない。

(平成20年 問6C)
【解答】○

【解説】(法41条、法66条、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)

■設問のとおり正しい。


【問題】使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。

(平成17年 問5B)

【解答】×

【解説】(法41条、法66条3項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)
■監督又は管理の地位にある者であっても深夜業の規定は適用。
妊産婦である管理監督者が請求した場合深夜業をさせることはできない


【問題】使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、深夜業をさせてはならないが、この規定は、妊産婦であっても管理監督者に該当するものには適用されない。

【解答】×

(平成15年 問6B)

【解説】(法41条、法66条3項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号)
■管理監督者であっても深夜業の規定は適用されます。(深夜の割増賃金が発生します。)
■したがって、妊産婦である管理監督者が請求した場合⇒深夜業できない。
■あくまで本人からの請求です。請求がなければ深夜業は可能)
■併せて、管理監督者については労働時間、休憩、休日の規定は適用されないために、
⇒妊産婦である管理監督者には時間外労働、休日労働をさせることは可能。


【問題】使用者は、妊産婦については、妊産婦からの請求の有無にかかわらず、深夜業をさせてはならない。

(平成13年 問7E)

【解答】×
【解説】(法66条3項)
使用者は、「妊産婦が請求した場合」には、深夜業不可です。
あくまで、請求した場合です。


【育児時間】 (法67条)

【問題】派遣中の派遣労働者が、労働基準法第67条第1項の規定に基づく育児時間を請求する場合は、派遣元事業主に対してではなく、派遣先の事業主に対して行わなければならない。

平成25年 問4A)
【解答】○

【解説】(法67条 平成21年3月31日基発0331010号)
■ 派遣中の労働者➠派遣先の事業のみを当該労働者を使用する事業とみなして、労基法上の労働時間、休日及び休憩に係る規定を適用

(育児時間の規定もこの中に含まれている。)


【問題】労働基準法第67条第1項においては、「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、労働時間の途中において、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」と規定されている。

(平成19年 問7E)
【解答】×

【解説】(法67条1項)

■「労働時間の途中において」という文言をとれば正しい。
■労働時間の途中でなくても、構わない。


【問題】生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、労働基準法第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。

(平成15年 問6D)

【解答】×

【解説】(法67条1項)
■「生後満1年に達しない生児を育てる労働者」⇒『生後満1年に達しない生児を育てる女性』にすれば正しい。


【問題】生後6か月の子を養育する男性労働者が、1日に2回各々30分の育児時間を請求したことに対し、使用者がその時間中に当該労働者を使用することは、労働基準法第67条第2項に違反する。

(平成20年 問6D)

【解答】×

【解説】(法67条)
■この規定は男性に対しては適用されないため、設問は誤り。


【問題】使用者は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第23条第1項の規定に基づき、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者に対し、始業時刻を30分繰り下げ、かつ、終業時刻を30分繰り上げる措置を講じている場合においては、当該措置の適用を受けている労働者については、当該労働者からの請求の有無にかかわらず、労働基準法第67条の育児時間を与える必要はない。
(平成14年 問4E)
【解答】×
【解説】(法67条、育介法23条1項)
■前半は、育児介護休業法の勤務時間の短縮等の措置

■後半は、労働基準法67条の育児時間(授乳時間を休憩時間とは別に設ける)の論点
■当然、勤務時間の短縮等の措置を受けている労働者から請求があった場合には、育児時間を与える必要があるので誤り。


【問題】労働基準法第67条第1項では、「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」とされているので、使用者は、生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があれば、その労働時間の長さにかかわらず、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を与えなければならない。

(平成19年 問5A)

【解答】×

【解説】(法67条、昭和36年1月9日基収8996号)
■法67条の規定は、1日の労働時間を8時間とする通常の勤務形態の女性が該当し、その間に1日2回の育児時間の付与を義務づけたもの。
■1日の労働時間が4時間以内であるような場合⇒1日1回の育児時間の付与をもって足りると解されている。


【生理日の就業が著しく困難な女性対する措置】 (68条)

【問題】労働基準法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、少なくとも月に1日は有給で休暇を与えなければならないとしている。

(平成20年 問6E)

【解答】×

【解説】(法68条、昭和23年6月11日基収1898号、昭和63年3月14日基発150号・婦発47号)
■使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合⇒その者を生理日に就業させてはならない。
■ただし、生理休暇期間中の賃金⇒労働契約、労働協約又は就業規則で定めるところによって支給すればよく、無給有給どちらでも問題なし。


【問題】労働基準法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない旨規定しているが、その趣旨は、当該労働者が当該休暇の請求をすることによりその間の就労義務を免れ、その労務の不提供につき労働契約上債務不履行の責めを負うことのないことを定めたにとどまり、同条は当該休暇が有給であることまでをも保障したものではないとするのが最高裁判所の判例である。

(平成23年 問7E)
【解答】○

【解説】(エヌ・ビー・シー工業事件)
■労働者が生理休暇の請求をすることにより
●その間の就労義務を免れ、
●その労務の不提供につき労働契約上債務不履行の責めを負うことのないことを定めたにとどまり
●生理休暇が有給であることまでをも保障したものではない
というのが判例の趣旨。


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