【遺族厚生年金の失権】 (法63条)

【問題】老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより当該死亡者の子または孫が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、当該子または孫が障害等級の3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。
(平成22年 問10E)
【解答】○
【解説】(法63条2項)
 ■子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、下記に該当するに至ったときに消滅。
(1)子又は孫について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く。
(2)障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。
(3)子又は孫が、20歳に達したとき。


【問題】平成19年4月1日以後に支給事由が生じ、かつ受給権を取得した当時30歳未満である妻に対する遺族厚生年金は、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する者について30歳に達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合はその日から起算して5年を経過したときに、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない者については当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに、それぞれ受給権が消滅する。
(平成19年 問5B)
【解答】○
【解説】(法63条1項)
■平成19年4月1日の法改正により、夫の死亡当時30歳未満である妻が受給する遺族厚生年金(子を有しない場合に限る。)について⇒受給権取得したときから5年を経過したときに受給権が消滅するという有期年金に。


【問題】厚生年金保険法で定める障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子又は孫が、遺族厚生年金の受給権者である場合に、その事情が止んだとき(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く。)又は20歳に達したとき、遺族厚生年金の受給権は消滅する。
(平成19年 問5D)
【解答】○
【解説】(法63条2項)
■障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にない子や孫に支給される遺族厚生年金

⇒下記の場合受給権消滅

●その事情がやんだとき(18歳の誕生日の属する年度の年度末までにあるときは除く)

●20歳に達したとき(20歳に達すると障害基礎年金が支給されるため)


【問題】被保険者であった者の死亡により、死亡した者の子(障害等級1級又は2級に該当する者を除く。)が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その後当該子が10歳で父方の祖父の養子となった場合でも、18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了するまでは受給権は消滅しない。
(平成23年 問3B)
【解答】○
【解説】(法63条)
■設問の事例の場合、父方の祖父は受給権者である子からみて直系血族となるため、養子になっても遺族厚生年金の受給権は失権しない。


【問題】遺族厚生年金の受給権は、遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したときに、消滅する。
(平成23年 問3D)
【解答】○
【解説】(法63条)
■30歳未満で遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給権を取得した妻が、その受給権取得後30歳未満である間に遺族基礎年金の受給権が消滅(子の死亡、離縁、18歳到達等)した場合⇒当該遺族基礎年金の失権から5年を経過したときに遺族厚生年金の受給権が失権。


【問題】平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族厚生年金については、遺族厚生年金の受給権者である夫が55歳未満であっても、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあるときは、遺族厚生年金の受給権者となることができるが、その後55歳に達する前にその事情がやんだときは当該受給権は消滅する。
(平成23年 問3A)
【解答】○
【解説】(法附則72条)
■設問のとおり正しい。
■平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族厚生年金⇒死亡の当時その者の夫、父母、祖父母が障害等級1級又は2級に該当するものであれば、死亡の当時55歳未満であっても遺族として扱う。
■昭和60年改正での昭和61年4月1日から平成8年4月1日までの間(10年間)の経過措置。


【遺族厚生年金の支給停止】 (法64条、65条〰68条)

【問題】遺族厚生年金の遺族の順位において、配偶者と子は同順位であるが、配偶者が妻(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、妻に遺族厚生年金を支給する間、子(所在不明によりその支給が停止されている場合を除く。以下同じ。)の支給が停止され、配偶者が夫(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)の場合には、子に遺族厚生年金を支給する間、夫の支給が停止される。
(平成22年 問10A)
【解答】×
【解説】(法59条2項、法66条)
■夫は、遺族基礎年金の受給権者にはならないため誤り。
配偶者及び子については、遺族厚生年金の支給順位が同順位とされていることから次のとおり支給調整されることになっている。
■子及び妻が遺族厚生年金の受給権者となった場合⇒原則として妻に遺族厚生年金を支給し、子に対する遺族厚生年金は支給停止。
■夫と子が遺族厚生年金の受給権者となった場合⇒原則として子に遺族厚生年金を支給することとし、夫に対する遺族厚生年金は支給停止。
■「夫(国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する者に限る。以下同じ。)」の箇所が誤り。


【問題】遺族厚生年金の受給権者が妻と子である場合に、子のみが遺族基礎年金の受給権を有するとき又は妻の所在が1年以上明らかでなくその旨を子が申請したときは、子に遺族厚生年金が支給されるが、妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されている場合は、子に対する遺族厚生年金も支給が停止される。
(平成19年 問5E)
【解答】×
【解説】(法66条1項)
■子及び妻が遺族厚生年金の受給権者となった場合

(原則)妻に遺族厚生年金を支給し、子に対する遺族厚生年金を支給停止

(例外)妻の申出により妻に対する遺族厚生年金が支給停止されている場合

子のみが遺族基礎年金の受給権を有することにより妻の遺族厚生年金が支給停止されている場合、妻の所在が1年以上明らかでなくその旨を子が申請したことにより妻の遺族厚生年金が支給停止されている場合

⇒子に遺族厚生年金が支給される。
■「妻自身の申出により妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されている場合は、子に対する遺族厚生年金も支給が停止される。」の箇所が誤り。


【問題】遺族厚生年金における遺族の順位のうち、妻(配偶者)と子は同順位であるが、妻と子の双方に遺族厚生年金及び遺族基礎年金の失権若しくは停止事由がない場合には、妻の遺族厚生年金が優先されて子の遺族厚生年金の支給がその間停止される。
(平成18年 問1B)
【解答】○
【解説】(法59条、法66条1項)
■配偶者及び子

⇒遺族厚生年金の支給順位は同順位のため、同順位者間での支給調整規定がある。

子及び妻が遺族厚生年金の受給権者となった場合

(原則)妻に遺族厚生年金を支給し、子に対する遺族厚生年金は支給停止。

(例外)妻が遺族基礎年金の受給権を有さず、子が遺族基礎年金の受給権を有している場合や妻の所在が1年以上不明である場合

⇒子に遺族厚生年金を支給し、妻に対する遺族厚生年金は支給停止。