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重要判例 大阪医科大学事件

【大阪医科大学事件】

■事件の概要

大阪医科大でアルバイトの職員が、正職員との賞与や私傷病欠勤中の賃金等の待遇格差を是正するよう求めた事件。

 

■結論

賞与

正職員とアルバイト職員との間に、賞与に係る労働条件の相違があることは、不合理であるとまで評価できない。

 

従って、正職員に対して賞与を支給する一方で、アルバイト職員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。

 

②私傷病欠勤中の賃金

私傷病欠勤中の賃金は、正職員の雇用維持と確保を前提とした制度である。

 

アルバイト職員は、職務の内容等の事情に加え、正職員のような長期雇用を前提とした雇用形態ではなく、当該アルバイト職員は、欠勤期間を含む在籍期間も3年余りにとどまり、その勤続期間が相当の長期間に及んでいたとはいい難い。

 

従って、正職員とアルバイト職員との間に私傷病による欠勤中の賃金に係る労働条件の相違があることは,不合理であるとまで評価できない。

 

■最高裁判決

最高裁は、待遇格差は不合理だとして計約109万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決を見直し、不合理な格差に当たらないとし請求を棄却。

  

■大阪医科大学事件(令和元年(受)第1055号、第1056号 地位確認等請求事件)

⇒「本件大学の教室事務員である正職員に対して賞与を支給する一方で、アルバイト職員である第1審原告に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当」として、原告の請求を退けた。

 

■メトロコマース事件(令和元年(受)第1190号、第1191号 損害賠償等請求事件)⇒「売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員である原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である」として、原告の請求を退けた。