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割増賃金に関して 法37条と通達の確認 1分単位と30分単位

先日、下記の割増賃金に関するニュースが飛び込んできました。

全国展開するファミリーレストランで、アルバイトなどの労働時間を5分単位で計算し、5分未満を切り捨ててきたため未払い賃金が生じたとして、1分単位に計算方法を変え過去2年間の未払い分を支払うと明らかにしています。

 

 

上記のケースである労働時間を5分単位で計算し、5分未満を切り捨てに関しては、法37条により違法になります。

 

勉強が進んだ受験生は、30分単位での処理が浮かんでくると思いますが、整理していきます。

 

まずは、厚生労働省のHPより、割増賃金に関するQAです。

 

■質問

当社では、残業時間の計算を30分単位で行っており30分未満は切り捨てています。この取扱いでよろしいでしょうか。

 

 

■解答

割増賃金の計算に当たっては、事務簡便のため、その月における時間外の総労働時間数に30分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることができるとされていますが、原則的には、毎日の時間外労働は1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理といえます。労働時間の端数計算を、四捨五入ではなく常に切り捨てで計算することは、切り捨てられた時間分の賃金が未払となるため認められていません。

 

 

労働基準法37条を確認します。

使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

労働基準法37条には、割増率に関する記述がされており、具体的な端数処理に関しての記述がありません。

 

端数処理に関しては、通達で記載されています。

 

■通達(昭63.3.14 基発150 号)

時間外・休日・深夜割増賃金の端数処理(「切捨て」が違法にならない場合)

時間数については、1 分であっても割増賃金の支払を要する。

ただし、毎日、分単位で積み上げ、1 か月分を合計してなお 1 時間未満の端数が出た時に、その端数のみ 30 分未満を切り捨て、30 分以上を 1 時間に切り上げることが許される

 

額についても「1 時間単位の賃金額及び割増額」と「1 か月分の時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額」について 1 円未満の端数が生じたとき、「50 銭未満

切捨て50 銭以上切上げ」が認められているのみである。この処理は労働基準法違反として取り扱われない。

 

 

「端数処理30 分未満を切り捨て、30 分以上を 1 時間に切り上げ」に関しては、1か月を単位とした処理であることに注意することが必要です。