必達 労働契約法

労働契約法は、平成20年3月から施行された法律で、就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるようになり、個別労働関係紛争が増加した背景に基づき制定された法律です。

 

 

平成21年に初めて1肢出題され、令和2年を除いて、毎年5肢1問の構成で出題されています。

■平成21-D

平成2031日から施行されている労働契約法において、労働契約の原則が第3条に規定されているが、同条第3項において、「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」とされている。

(正解)労働契約法33

 労働契約の原則(法3条)】

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

②労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする

④労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

⑤労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

■平成22-A

労働契約法に関して、使用者は、労働契約に伴い、労働者及びその家族がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならない。

(誤り)労働契約法5条

「労働者及びその家族が」⇒「労働者が」

■労働者の安全への配慮(法5条)

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

■平成22-B

労働契約法に関して、使用者は、労働者との合意がなければ労働者の不利益に労働条件を変更することはできないが、事業場の労働者の過半数を代表する労働組合の意見を聴いて就業規則を変更する場合には、労働条件を労働者の不利益に変更することができる。

(誤り)労働契約法9条、10

労働契約の内容を変更する場合のルール。

合意の原則

就業規則の変更による労働条件の

変更

労働者及び使用者の合意があれば、労働条件を変更することが

可能。

(原則)就業規則の変更により労働者の不利益になる労働条件を変更することはできない。

(例外)かつ②

変更後の就業規則の周知

②就業規則の変更が合理的なものであるとき

 

⇒不利益変更可能。

変更後の就業規則に定めるところによる。

■就業規則の変更が合理的なものであるかどうかの判断は、下記を総合的に考慮する必要があります。

個々の労働者の受ける不利益の程度

②使用者にとっての労働条件の変更の必要性

③変更後の就業規則の内容の相当性

④労働組合等との交渉の状況

⑤その他就業規則の変更に係る事情

■平成22-C

労働契約法に関して、労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものである。

(正解)労働契約法3条2項

■労働契約の原則(法3条2項)

②労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

■平成22-D

労働契約法は、労働基準法と異なり、民法の特別法であるから、同居の親族のみを使用する場合の労働契約についても適用される。

(誤り)労働契約法21

2か所誤り。

・労働契約法、労働基準法共に民法の特別法。

・「適用される。」⇒「適用されない。」

■適用除外(法21条)

この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

②この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

■平成22-E

労働契約法に関して、使用者は、期間の定めのある労働契約については、やむを得ない事由がある場合であっても、その契約が満了するまでの間においては、労働者を解雇することができない。

(誤り)労働契約法171

「やむを得ない事由がある場合」においては、労働者を解雇することができます。

具体的には、天災事変により事業の継続が不可能になった場合等が該当します。

■契約期間中の解雇等(法17条1項)

使用者は、期間の定めのある労働契約(「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない

■平成23-A

労働契約法に関して、労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされている。

(正解)労働契約法32

■平成23-B

労働契約法に関して、労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含め、労働契約の内容については、できるだけ書面により確認するものとされている。

(正解)労働契約法42

■労働契約の内容の理解の促進(法4条2項)

労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

■平成23-C

労働契約法に関して、使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、労働契約法第10条ただし書に該当する場合を除き、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとされている。

(正解)労働契約法10

■就業規則による労働契約の内容の変更(法10条)

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

■平成23-D

労働契約法に関して、労働者に在籍出向を命じる場合において、使用者の当該命令は、当該労働者の個別の同意を得た上で、当該出向が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、権利を濫用したものと認められない態様で行われた場合のみ有効であるとされている。

(誤り)労働契約法14

在籍出向の場合、労働者の個別の同意は不要。

■出向(法14条)

使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らしてその権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

■平成23-E

労働契約法に関して、使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないとされている。

(正解)労働契約法172

■第4章 期間の定めのある労働契約…契約期間中の解雇等(法17条)

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない

■平成24-A

労働契約法における「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいうとされており、これに該当すれば家事使用人についても同法は適用される

(正解)労働契約法21項、21

■定義(法2条)

この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

②この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

 

■横断…家事使用人

労働基準法…(法1162項)

労働契約法…(法21条)

同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない

国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

②使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

原則、家事使用人に関しては、労働基準法は適用除外。

一方、労働契約法は、家事使用人に関して適用。

■平成24-B

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされている。

(正解)労働契約法5条 

労働契約法5条そのものからの出題です。

平成22年問5Aに引続き出題。

■平成24-C

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことによって成立するものとされており、当事者の合意、認識等の主観的事情は、労働契約の成否に影響を与えない。

(誤り)労働契約法6条

労働契約は、当事者の合意により成立するので誤りです。

■労働契約の成立(法6条)

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

 

■平成24-D

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができるとされている。

(正解)労働契約法8条

■労働契約の内容の変更(法8条)

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

■平成24-E

使用者が労働者を懲戒することができる場合においても、当該懲戒が、その権利を濫用したものとして、無効とされることがある。

(正解)労働契約法15

■懲戒(法15条)

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする

 

■平成25-A

労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされている。

(正解)労働契約法3条3項

■労働契約の原則(法3条)

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

②労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする

④労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

⑤労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

■平成25-B

使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとするのが、最高裁判所の判例である。

(正解)最判平成12324日(電通事件)

■平成25-C

いわゆる採用内定の制度の実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難というべきであり、採用内定の法的性質を判断するに当たっては、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要があるとするのが、最高裁判所の判例である。

(正解)最判昭和54720日(大日本印刷事件)

■平成25-D

労働契約法等に関して、使用者が社内の多数労働組合の同意を得て就業規則を変更し、55歳以降の賃金を54歳時よりも引き下げつつ、定年年齢を引き上げた事案について、本件就業規則の変更は、多数労働組合との交渉、合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから、変更後の就業規則の内容は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、労使間の利益調整がされた結果として合理的なものとみなすことができるとするのが最高裁判所の判例である。

(誤り)最判平成9228日(第四銀行事件)

「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、」の個所が誤り

就業規則の変更の合理性の有無は、

具体的には、

・就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度

・使用者側の変更の必要性の内容や程度

・変更後の就業規則の内容自体の相当性

・代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況

・労働組合等との交渉の経緯

・他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである。

 

■■平成25年-1Eは、パートタイム・有期雇用労働法からの出題のため割愛

 

■平成26-A

労働契約法等に関して、「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

(正解)最判平成151010日(フジ興産事件)

【判例の趣旨】

使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する

②就業規則が法的規範としての性質を有するものとして,拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。

■平成26-B

就業規則で定める基準と異なる労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとされている。

(誤り)労働契約法12

「就業規則で定める基準と異なる労働条件」⇒「就業規則で定める基準に達しない労働条件」

■就業規則違反の労働契約(法12条)

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

■平成26-C

労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当であるとするのが、最高裁判所の判例である。

(正解)最判平成1049日(片山組事件)

■判例の趣旨

労働者が職種不問で労働契約を締結し、実際に就いた業務で十分な働きができなくても、能力に応じて他の業務での労務の提供ができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが、最高裁判所の判例である。