雇用保険法 (№01 被保険者他)

《目次》

●管掌…1問

●被保険者…27問 


【管掌】 (法2条)

【問題】雇用保険は政府が一元的に管掌する制度であり、都道府県知事にその事務の一部を行わせることは許されていない。
(平成14年 問1B)
【解答】×
【解説】(法2条、令1条)
■雇用保険⇒政府が管掌

■雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることが可能。
■都道府県知事が行う事務⇒「能力開発事業」のうち一定の事業


【被保険者 法人の代表者】 (法4条1項)

【問題】株式会社の代表取締役が被保険者になることはない。

(平成24年 問1B)

【解答】〇

【解説】(法4条1項)

代表取締役雇用保険の被保険者になることはない。

取締役報酬支払の面から労働者的性格のある者で雇用関係が認められれば被保険者になることもある。


【問題】個人事業の事業主と同居している親族は原則として被保険者とならず、法人の代表者と同居している親族についても、形式的には法人であっても実質的には代表者の個人事業と同様と認められる場合には、原則として被保険者とならない。
(平成13年 問1A)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■個人事業の事業主と同居している親族
(原則)被保険者とならない。
(例外)次の要件をすべて満たす場合は、被保険者。
①業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
②就業に実態が当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること
③事業主と利益を一にする地位にいないこと


【問題】法人の代表者は原則として被保険者とならないが、労働保険事務組合に労働保険の事務を委託する中小企業の事業主については、申請に基づき、一定の要件のもとに雇用保険に特別加入することが認められる。
(平成15年 問2B)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
法人の代表者⇒雇用保険の被保険者になることはない。


【問題】株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合であっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者となることはない。
(平成17年 問1A)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
■(原則)株式会社の取締役⇒被保険者とならない。
■(例外)取締役であって、同時に会社の部長、支店長、工場長等従業員としての身分を有する者は、報酬支払等の面からみて労働者的性格が強く雇用関係があると認められるものに限り⇒被保険者となる。


【問題】個人事業主及び法人の代表者は原則として被保険者とならないが、労災保険法第34条第1項の規定に基づき労災保険に特別加入した中小事業の事業主は、雇用保険についても被保険者となる。
(平成23年 問1E)
【解答】×
【解説】(法4条)
■個人事業主及び法人の代表者⇒原則、雇用保険の被保険者とならない。
■労災保険に特別加入したとしても雇用保険の被保険者になるという規定はない。


【被保険者 (同居の親族・家事使用人)】

【問題】家事使用人は被保険者とならないが、適用事業の事業主に雇用され、主として家事以外の労働に従事することを本務とする者は、例外的に家事に使用されることがあっても、被保険者となる。
(平成17年 問1D)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■(原則)家事使用人は被保険者とならない。
■(例外)適用事業の事業主に雇用され、主として家事以外の労働に従事することを本務とし、例外的に家事に従事する場合は被保険者。


【問題】同居の親族のみを使用する事業は原則として適用事業から除外されるが、事業主が当該事業に使用される親族の2分の1以上の同意に基づき都道府県労働局長に任意加入の申請を行って認可を受けた場合には、それらの全員が被保険者となる。
(平成21年 問1A)
【解答】×
【解説】(法4条1項)

■前段の論点は正しい。
■事業主が当該事業に使用される同居の親族の2分の1以上の同意に基づき都道府県労働局長に任意加入の申請を行って認可を受けた場合には、それらの全員が被保険者となる」という規定はないので誤り。


【被保険者 (派遣労働者)】

【問題】いわゆる登録型派遣労働者が短期の派遣就業を繰り返す場合、各回の派遣先が異なっていても、同一の派遣元で反復継続して6か月以上派遣就業することが見込まれるならば、年収見込額のいかんを問わず、被保険者となる。
(平成13年 問1D)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
登録型派遣労働者については、以下のいずれにも該当する場合に被保険者となる。
反復継続して派遣就業するものであること
(原則)⇒一の派遣元事業主に1年以上引き続き雇用されることが見込まれること
(例外)⇒ 一の派遣元事業主との間の雇用契約が1年未満であってもっても雇用契約と次の雇用契約の間隔が短く(各回の派遣先が変わってもよい)、その状態が通算して1年以上続く見込みがあるとき⇒「反復継続して派遣就業するもの」と認められる。
1週間の所定労働時間が20時間以上であること
■年収要件は問われない。


【問題】いわゆる登録型の派遣労働者が、同一の派遣元事業主の下で期間31日未満の雇用契約による派遣就業を繰り返す場合、1つの雇用契約期間と次の雇用契約期間との間に数日程度の間隔があっても、このような状態が通算して31日以上続く見込みがあり、かつ、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、被保険者となる。
(平成19年 問1D)
【解答】○
【解説】(法4条1項)

■設問のとおり正しい。
■一般労働者派遣事業に雇用される労働者のうち常時雇用される労働者以外(登録型の派遣労働者)の者については、次の①及び②のいずれにも該当する場合⇒被保険者になる。

反復継続して派遣就労する者であること
⇒本要件を満たすためには、一の派遣元事業主に31日以上引き続き雇用されることが見込まれることを要するが、次の(a)又は(b)に該当する場合はこれに該当する。
(a)一の派遣元事業主に31日以上引き続き雇用されることが見込まれるとき
(b)一の派遣元事業主との間の派遣就業に係る雇用契約の一つが31日未満の短期間であって、一の雇用契約期間と次回の雇用契約期間との間に間隔が見込まれる場合であっても、その間隔が短く、その状態が通算して31日以上続く見込みがあるとき
1週間の所定労働時間が20時間以上であること


【問題】日本に在住する外国人が、いわゆる常用型の派遣労働者として特定労働者派遣事業者である適用事業に週に40時間雇用されている場合には、外国公務員又は外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除き、国籍(無国籍を含む。)のいかんを問わず被保険者となる。
(平成21年 問1B)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■日本国に在住する外国人⇒外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除き、国籍(無国籍を含む。)の如何を問わず被保険者。


【被保険者 (昼間学生)】

【問題】短期大学の学生は、定時制ではなく昼間に開講される通常の課程に在学する者であっても、適用事業に雇用される場合はすべて被保険者となる。
(平成22年 問1D)
【解答】×
【解説】(法6条5号、則3条の2)
■(原則)昼間学生は被保険者にならない。
■(例外)次のいずれかに該当する場合⇒被保険者となる。
①卒業を予定している者で、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用される者
②休学中の者
③定時制の課程に在学する者
④上記1から3に準ずる者として職業安定局長が定めるもの


【問題】大学の中間学生は、休学中であっても被保険者となることはない。
(平成15年 問2D)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
■原則、昼間学生は被保険者にならない。
■ただし、例外として、被保険者となるケース

休学中の者又は通学する学校が一定の出席日数を課程修了の要件としない者で、その事業において同種の業務に従事する通常の労働者と同様に勤務し得ると認められる者
②卒業見込証明書を有するものであって、卒業前に就職し、卒業後も引き続きその事業所に勤務する予定の者

 


【被保険者 (外国籍の労働者)】

【問題】適用事業に雇用される労働者が日本国外にある適用事業主の支店への転勤を命じられた場合には被保険者資格を失わないが、現地で採用される者は、国籍のいかんにかかわらず被保険者とならない。
(平成13年 問1B)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■雇用保険の適用事業に雇用される労働者が事業主の業務命令によって日本国外で就労する場合⇒下記に該当するときは被保険者となる。
①海外に出張して就労する場合
②海外にある適用事業主の支店、出張所等に転勤した場合
③海外ある他の事業主の事業に派遣され、雇用された場合
現地で採用される者⇒国籍に関係なく、被保険者とならない。


【問題】日本国に在住する外国人が適用事業に雇用された場合、離職後も日本国内における就労及び求職活動ができることを証明する書類を公共職業安定所長に提出しない限り、被保険者とならない。
(平成15年 問2E)
【解答】×
【解説】
■在日外国人⇒
(原則)国籍を問わず、被保険者となる。
(例外)外国公務員及び外国の補償制度の適用を受けていることが立証された場合は、被保険者とならない。
■被保険者になるために、離職後も日本国内における就労及び求職活動ができることを証明書を公共職業安定所長に提出するという規定は存在しないので誤り。


【被保険者 (短時間勤務)】

【問題】通常の労働者の1週間の所定労働時間が40時間である適用事業で、1週間の所定労働時間を25時間、雇用契約の期間を2年間と定めて雇用された満62歳の労働者は、一般被保険者となることはできない。
(平成21年 問1C)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
短時間就労者については、次のいずれにも該当するときに⇒被保険者として取り扱う。
1週間の所定労働時間が20時間以上であること
31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
■設問の要件であれば、一般被保険者に該当。


【問題】パートタイム労働者等の短時間就労者であっても、1週間の所定労働時間が15時間以上であり、かつ1年以上引き続き雇用されることが見込まれるならば、被保険者となる。
(平成15年 問2C)
【解答】×
【解説】
(法4条1項)
■短時間就労者とは⇒1週間の所定労働時間が同一の適用事業に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べ短く40時間未満である者
■短時間就労者が被保険者になる要件
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②反復継続して就労する者であること(1年以上引き続き雇用されることが見込まれること)


【被保険者 (65歳以後)】

【問題】65歳に達した日以後に適用事業に新たに雇用された者は、短期雇用特例被保険者又は日雇労働被保険者に該当することとなる場合を除き、被保険者とならない。
(平成15年 問2A)
【解答】○
【解説】(法6条1号)

■設問のとおり正しい。

同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者⇒高年齢継続被保険者になる。


【問題】60歳で定年退職した者がシルバー人材センターの無料職業紹介を通じて臨時的かつ短期的な雇用に就く場合、その賃金が家計の主たる部分を賄わず、かつ反復継続して就労しない臨時内職的な就労に過ぎないものであれば、被保険者とならない。
(平成13年 問1E)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■設問のとおり正しい。

■臨時内職的に雇用される者⇒以下のいずれにも該当する場合⇒被保険者とならない。
①その者の受ける賃金をもって家計の主たる部分を賄わない者(家計補助的な者)
②反復継続して就労しない者であって、臨時内職的に就労するにすぎない者


【被保険者 (船員)】

【問題】海運会社に雇用される商船の船員で船員保険の被保険者である者は、雇用保険の被保険者とならない。
(平成23年 問1D)
【解答】×
【解説】(法4条、法6条)
■適用事業に雇用される船員⇒適用除外に該当する場合を除き雇用保険の被保険者となる。
■船員法第1条 に規定する船員であって、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者は適用除外とされている。(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)


【被保険者 (その他)】

【問題】適用事業で雇用される被保険者が、事業主の命を受けて取引先である中国企業の北京支店に出向した場合、当該出向元事業主との雇用関係が継続する場合であっても、当該出向期間が4年を超えると、被保険者たる資格を失う。

(平成24年 問1D)

【解答】×

【解説】(法4条1項)

■出向期間の長短にかかわらず、雇用関係が継続している限り被保険者としての資格を失うことはない。


【問題】適用事業の事業主との間に雇用関係が存続していても、労働者が長期に渡り欠勤していることにより賃金の支払いを受けていない場合には、当該労働者は被保険者とならない。

(平成24年 問1A)

【解答】×

【解説】(法4条1項)

■雇用関係が存続している限り賃金の有無にかかわらず被保険者。


【問題】民間企業である適用事業に雇用された者は、雇用保険法の定める求職者給付及び就職促進給付の内容を上回るような退職金制度が存在する場合であっても、被保険者となり得る。
(平成19年 問1A)
【解答】○
【解説】(法4条1項)

■設問のとおり正しい。
■適用事業に雇用される労働者⇒求職者給付及び就職促進給付の内容を上回るような退職金制度のある適用事業に雇用されるものであっても、被保険者になる。
■国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、厚生労働省令で定めるものについては適用除外。


【問題】適用事業で雇用される被保険者が、事業主の命を受けて、取引先である米国企業のサンフランシスコ支店に3年間の予定で出向する場合、当該出向元事業主との雇用関係が継続している限り、被保険者たる資格を失わない。
(平成19年 問1C)
【解答】○
【解説】(法4条1項)

■適用事業に雇用される労働者が事業主の命により日本国の領域外において就労する場合の被保険者資格⇒
①その者が日本国の領域外に出張して就労する場合⇒被保険者
②その者が日本国の領域外にある適用事業主の支店、出張所等に転勤した場合⇒被保険者
③その者が日本国の領域外にある他の事業主の事業に出向し、雇用された場合⇒国内の出向元事業主との雇用関係が継続している限り被保険者
■現地で採用される者⇒国籍の如何にかかわらず被保険者とならない。


【問題】同時に2つの適用事業に雇用される労働者は、週当たりの所定労働時間が通算して20時間以上であれば、両方の適用事業において被保険者となる。
(平成19年 問1B)
【解答】×
【解説】(法4条1項)
■同時に二以上の雇用関係にある労働者⇒原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受けている適用事業との雇用関係に


【問題】適用事業に雇用される労働者が、いわゆる在籍出向により、その雇用関係を存続したまま他の事業主に雇用されることになった場合、原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ、被保険者資格が認められる。
(平成13年 問1C)
【解答】○
【解説】(法4条1項)

■設問のとおり正しい。

■雇用関係を存続したまま他の事業主に雇用された場合(在籍出向)
■事業主との雇用関係を存続したまま労働組合の役職員となった場合(在籍専従)
⇒その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ被保険者資格として認めることになっている


【問題】18歳未満の者が適用事業に雇用される場合、親権者又は後見人の同意がなくても、年少者雇用特例被保険者となりうる。
(平成18年 問1D)
【解答】×
【解説】(法4条)
■雇用保険法において、「年少者雇用特例被保険者」という規定なし。
■2度読む必要のない問題。


【問題】民間企業に勤務する被保険者が病気のため当該企業を長期にわたり欠勤している場合でも、雇用関係が存続する限り、賃金の支払いを受けているか否かにかかわりなく被保険者たる資格を失わず、この期間は基本手当の算定基礎期間に算入される。
(平成19年 問1E)
【解答】○
【解説】(法4条1項)
■労働者が長期欠勤している場合⇒雇用関係が存続する限り賃金の支払を受けていると否とを問わず被保険者に。


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