労働基準法

【36協定に基づく時間外・休日労働】【過半数代表者選任】

【36協定に基づく時間外・休日労働】 (法36条)

【問題】事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。

平成25年 問3E)
【解答】正しい
【解説】法36条1項,昭和23年4月5日基発535号
■36協定の効力⇒協定当事者である組合の組合員でない他の労働者にも及ぶので正しい。


【問題】労働基準法36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

(平成24年 問5E)

【解答】○

【解説】(法36条)

■設問のとおり正しい。届出が効力発生の要件

企画業務型裁量労働制に係る労使委員会の決議も同様に届出が効力発生要件。


【問題】労働基準法第36条は、時間外又は休日労働を適法に行わせるための手続を規定したものであるから、時間外又は休日労働命令に服すべき労働者の民事上の義務は、同条に定めるいわゆる36協定から直接当然に生じるものではない。

(平成24年 問5D)

【解答】○

【解説】(法36条)

■36協定は、単に手続き上の免罰効果を有するのみ。

労働者の民事上の義務は労働協約、就業規則等の根拠が必要


【問題】労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定が有する労働基準法の規制を解除する効力(労働基準法上の基準の強行的・直律的効力〔13条〕の解除、労働基準法上の罰則〔117条以下〕の適用の解除)は、労使協定の締結に反対している労働者には及ばない。

(平成22年 問7A)

【解答】×

【解説】(法36条)
■結論は、「労使協定が締結された場合、その効力は、当該事業場の全労働者に及ぶ。」といことで誤り。
■つまり、労使協定に反対している労働者にもその効力は及ぶ。
■労働者の民事上の義務⇒当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要であるとされている。(昭和63年1月1日基発1号)

 


【問題】最高裁判所の判例によると、労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、36協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、当該就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するのを相当とする、とされている。

(平成18年 問5D)

【解答】○

【解説】(日立製作所武蔵工場事件)
36協定自体は免罰効力しか有さない

■時間外労働・休日労働させるためには⇒労働契約上の根拠を必要とし、就業規則の内容が合理的なものであれば、これを根拠とすることが可能とした判例。 


【問題】毎年1月1日から年末までの1年間を有効期間とする、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、当該36協定に協定の有効期間についての自動更新条項がある場合には、翌年からは、協定の内容に変更のない限り、所轄労働基準監督署長へは、何らの届出も必要ではない。

(平成13年 問5A)

【解答】×

【解説】(法36条1項、則17条2項、昭和29年6月29日基発355号)
■自動更新条項があっても、労使双方いずれからも異議の申し出がなかった事実を証する書面を所轄労働基準監督署に届け出る必要がある。


【問題】労働基準法第36条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」においては、36協定において1日を超える一定の期間についての延長することができる時間を定めるに当たっては、当該一定の期間は、1日を超え3か月以内の期間及び1年間としなければならないこととされていることから、1年についての延長時間を定める36協定については、有効期間は、最も短い場合でも1年間となるが、1日及び1日を超え3か月以内の期間について定められた延長時間の有効期間までもすべて一律に1年間としなければならないものではなく、1日及び1日を超え3か月以内の期間について定められた延長時間の有効期間を1年間についての延長時間の有効期間とは別に、1年未満とすることもできる。

(平成17年 問3C)

【解答】○

【解説】(法36条1項、則16条1項・2項、平成11年3月31日基発169号)
■36協定を締結する場合には、「1日」、「1日を超え3か月以内」、「1年」についての延長時間を定める必要がある。
■併せて、36協定には有効期間についても定める必要があるが、上記3区分の有効期間を同じにする必要はない。 


【問題】派遣先の事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定( 以下「36協定」という。)が締結され、これが所轄労働基準監督署長に届け出られている場合においては、当該派遣先の使用者は、当該事業場に派遣されて現に当該使用者の指揮命令の下に働いている派遣労働者を、当該36協定で定める内容に従い、時間外労働させることができる。

(平成17年 問3A)
【解答】×

【解説】(法36条1項、昭和61年6月6日基発333号、派遣法44条2項)
■派遣労働者に関する36協定の締結及び届出⇒派遣元の事業場において行う必要がある。


【問題】深夜業を含む業務は健康上特に有害な業務として、労働基準法第36条第1項ただし書の規定によって、36協定によっても、労働時間の延長は1日について2時間を超えることはできないこととされている。

(平成13年 問6E)

【解答】×

【解説】(法36条1項但書、則18条)
■「深夜業を含む業務」⇒時間外労働が1日2時間以内に制限される「健康上特に有害な業務」に含まれていない。


【過半数代表者選任】

【問題】労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者ではなかったとしても、当該協定を行政官庁に届け出て行政官庁がこれを受理した場合には、当該協定は有効であり、労働者は使用者の時間外労働命令に従う義務を負うとするのが最高裁判所の判例である。

(平成23年 問4D)
【解答】×

【解説】(トーコロ事件 平成13年6月22日)
■労働者の過半数代表者の選任に関する判例。
■36協定締結における「労働者の過半数を代表する者」は当該事業場の労働者により適法に選出されなければならない。
■具体的には、選出される者が労働者の過半数を代表して36協定を締結することの適否を判断する機会が与えられ、かつ、当該事業場の過半数の労働者がその候補者を支持していると認められる民主的な手続がとられていることが必要
■設問のように、36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者でなかった場合は、当該36協定は無効となるというのが最高裁判所の判断で設問は誤り。

 


【問題】労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場において36協定を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、そもそも労働時間の規定の適用がない労働基準法第41条第2号に該当する監督又は管理の地位にある者は含まれない。

(平成13年 問5B)

【解答】×

【解説】(法36条1項、昭和46年1月18日基収6206号)
■労働者の過半数代表者の労働者の範囲の問題。
・「監督又は管理の地位にある者」
・「機密の事務を取り扱う者」
・「原則として時間外労働又は休日労働をさせることができない年少者」
・「病気などによる休職期間中の者」
なども在籍している限り労働者に含める。(過半数代表者の選出に参加可能)
■このうち「監督又は管理の地位にある者」⇒過半数代表者の選出には参加できるが、自らが過半数代表者にはなれない。


【問題】労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定を 締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場においては時間外労働及び休日労働が全く予定されていないようなパート タイム労働者なども含めなければならないが、長期間の病気などにより休職発令を受けて休職中の労働者で当該協定期間中に出勤が全く予想されないものは含まれない。

(平成14年 問1B)

【解答】×

【解説】(法36条1項)
■前半の論点は正しいが、後半の「長期間の病気などにより休職発令を受けて休職中の労働者」は在籍している限り労働者に含めるので誤り。


【問題】労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とされており、労働者の過半数を代表する者の選出は、必ず投票券等の書面を用いた労働者による投票によって行わなければならない。

(平成22年 問7B)

【解答】×

【解説】(法36条、則6条の2、平成11年3月31日基発169号)
■労働者の過半数を代表する者の選出
⇒協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続等の方法による手続により選出された者であることが必要。

 


【問題】労働基準法第41条第2号に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。

(平成22年 問7C)

【解答】×

【解説】(法36条、則6条の2)
■法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者⇒労働基準法上の労使協定を締結する過半数を代表する者になれない。


【問題】労働組合はないが、会社の代表取締役以下の役員及び従業員全員で構成される「友の会」がある事業場において、そのほとんどすべての構成員が出席して開催された「友の会」の総会の後、会社役員のみが退席し部長など労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある労働者(以下「管理監督者」という。)を含め当該総会に出席した当該事業場のほとんどすべての従業員が残っている場において、当該「友の会」の会長をしている労働者(管理監督者ではない。)が、36協定の労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出することを明らかにして実施された挙手により当該締結当事者として選出された場合には、その者は、法所定の要件を満たす「労働者の過半数を代表する者」とみることができる。

(平成15年 問1E)

【解答】○

【解説】(法36条、則6条の2)
■問題の論点⇒当該友の会の会長は、「労働者の過半数を代表する者」に該当するかどうか。
■結論は、「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続き」により選出されたので、要件を満たし「労働者の過半数を代表する者」とみることができる。


【問題】事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないため労働者の過半数を代表する者( 以下「過半数代表者」という。)との間に4月1日から1年間の36協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出て、その定めるところに従い時間外労働及び休日労働を行わせてきた事業場において、この過半数代表者が同年10月1日の人事異動により、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位に配置換えとなった。
この場合、36協定の労働者側の締結当事者たる過半数代表者は、同法施行規則第6条の2第1項において、「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」とされているところから、使用者は、労働者に、合法的に時間外労働及び休日労働を行わせようとするならば、新しく選ばれた過半数代表者との間で、新たに36協定を締結し直さなければならない。

(平成17年 問3B)

【解答】×

【解説】法36条6項
■36協定を締結する場合の労働者の過半数代表者の要件は36協定の成立要件。

■存続するための要件ではないので改めて締結し直す必要なし。


【問題】労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場で雇用されて働いているパート、アルバイト等は含まれるが、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者は含めない。

平成25年 問3A)
【解答】○
【解説】 
■労働者の過半数を代表する者の算定に、派遣労働者は含めないので正しい。
■派遣労働者⇒派遣元の事業場において、36協定を締結。


【問題】労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者も含めなければならない。

(平成15年 問1A)

【解答】×

【解説】(法36条、派遣法44条2項)
■派遣労働者⇒本来派遣元の労働者。

■したがって、派遣労働者は、派遣先の労働者労働者数の算定には含まれない為、問題は誤り。


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