労働基準法

《目次》【解雇予告の適用除外】【退職時の証明等】【金品の返還】

解雇予告の適用除外(法21条)

【問題】労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。

(平成23年 問3D)

【解答】×
【解説】(法21条)

■6カ月の期間を定めて使用される者⇒解雇予告が必要になります


【問題】労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試の使用をされている者には適用されることはない。

(平成23年 問3C)

【解答】×
【解説】(法21条)
■労基法20条の解雇の予告の規定は、下記該当する労働者については、原則適用されない。
例外として、

①に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合

②若しくは③に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は

④に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、解雇の予告が必要。
①日日雇い入れられる者
②2箇月以内の期間を定めて使用される者
③季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
④試の使用期間中の者
■3か月の期間を定めて試の使用をされている者でも、14日を超えて引き続き使用される場合は、解雇予告が必要。


【問題】日々雇い入れられる者については、労働基準法第20条に定める解雇予告に関する規定は適用されることはない。

(平成13年 問2E)

【解答】×
【解説】(法21条但書)
■「日日雇い入れられる者」であっても、1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合

⇒解雇予告に関する規定は適用。


退職時の証明等(法22条)

【問題】労働者と使用者との間で退職の事由について見解の相違がある場合、使用者が自らの見解を証明書に記載し労働者の請求に対し遅滞なく交付すれば、基本的には労働基準法第22条第1項違反とはならないが、それが虚偽であった場合(使用者がいったん労働者に示した事由と異なる場合等)には、同項の義務を果たしたことにはならない。

(平成22年 問2C)

【解答】○

【解説】(法22条1項、平成11年3月31日基発169号)
■労働者から請求があった場合⇒遅滞なく証明書を交付しなければならない。

■労働者と使用者との間の退職の事由についての見解の相違での証明書は適法。

■ただし、当初の会社の見解と証明書の内容が虚偽により異なれば当然退職時の証明を果たしたことにはならず違法。


【問題】使用者は、労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、遅滞なくこれを交付しなければならない。

(平成15年 問2D)

【解答】○

【解説】(法22条1項)
■退職時証明書の内容(退職後)
①使用期間
②業務の種類
③その事業における地位
④賃金
⑤退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由も含む)

■ 解雇予告期間中に関しての証明書
⇒解雇予告日から実際の退職の日までの間に、解雇予告を受けた当該労働者から解雇理由についての証明書の交付請求があった場合⇒使用者は遅滞なく交付しなければならない。
請求可能な証明事項は⇒『解雇理由』のみ。


【問題】労働基準法第22条第1項の規定により、労働者が退職した場合に、退職の事由について証明書を請求した場合には、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならず、また、退職の事由が解雇の場合には、当該退職の事由には解雇の理由を含むこととされているため、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合であっても、使用者は、解雇の理由を証明書に記載しなければならない。

(平成22年 問2D)

【解答】×

【解説】(法22条)

■退職時等の証明書⇒労働者の請求しない事項は記入不可

■「解雇の事実のみ」の請求に対して、「解雇の理由」を記入することはできない。


【問題】労働基準法第22条第4項において、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時等の証明書に秘密の記号を記入してはならないとされているが、この「労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動」は制限列挙事項であって、例示ではない。

(平成22年 問2E)

【解答】○
【解説】(法22条4項、昭和22年12月25日基発502号、平成15年12月26日基発1226002号)
■使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、
労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時等の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
■「労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動」は制限列挙事項。


【問題】労働基準法第22条第2項においては、使用者は、労働者が、同法第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、遅滞なくこれを交付しなければならない旨規定されているが、この規定は、即時解雇の場合には、適用されないものである。

(平成16年 問3C)

【解答】○

【解説】(法22条2項、平成15年10月22日基発1022001号)
■法22条2項の規定⇒解雇予告日から解雇日までの期間中に、労働者から請求があった場合に証明書を交付。

■解雇予告が必要ない即時解雇の場合はこの規定は適用されない。

■ただし、即時解雇の場合でも法22条1項の「退職時の証明」により解雇理由について請求があった場合には証明書を交付しなければならない。


【金品の返還】(法23条)

【問題】死亡した労働者の退職金の支払いは、権利者に対して支払うこととなるが、この権利について、就業規則において、民法の遺産相続によらず、労働基準法施行規則第42条、題43条の順位による旨定めた場合に、その定めた順位によって支払った場合は、その支払いは有効であると解されている。

(平成24年 問1B)

【解答】〇

【解説】(法23条)

■就業規則において、受給権者の範囲、順位が、民法の規定する相続人と異なる定めをしている場合でも、遺族の生活保障を目的としたものとし有効と判断。


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