労働基準法

《目次》

●休業手当

●出来高払い制の保障給

【休業手当】 (法26条)

【問題】労働者派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。したがって、派遣先の事業場が天災地変等の不可抗力によって操業できないために、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが使用者の責に帰すべき事由に該当しないこととは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、その責に帰すべき事由に該当しないかどうかを判断することとなる。

(平成18年 問2E) 

【解答】○
【解説】(法26条、昭和61年6月6日基発333号)
■派遣中の労働者の休業手当についての設問。
労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は⇒派遣元の使用者についてなされます。


【問題】労働基準法第26条の規定に基づき、使用者が、その責めに帰すべき事由による休業の場合に支払わなければならない休業手当は、同法第11条の賃金と解される。したがって、同法第24条第2項が適用され、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。

(平成19年 問2D)
【解答】○

【解説】

(法26条、昭和25年4月6日基収207号、昭和63年3月14日基発150号)
休業手当=賃金


【問題】労働基準法第26条に定める休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払が義務付けられるものであり、例えば、親工場の経営難により、下請工場が資材、資金を獲得できず休業した場合、下請工場の使用者は休業手当の支払義務を負わない 。

(平成22年 問3E)

【解答】×
【解説】(法26条、昭和23年6月11日基収1998号)
■休業手当⇒使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払が義務付けられている
■たとえ、親会社の経営難から下請工場が資材資金を獲得できず休業した場合であっても、休業手当を支払う義務が生じる。


【問題】派遣中の労働者について、当該労働者派遣契約が派遣先の事業場の事情によって中途で解約された場合においても、労働基準法第26条の休業手当に関する規定の適用については、同条の「使用者の責に帰すべき事由」があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。

(平成13年 問4E)
【解答】○
【解説】(法26条、昭和61年6月6日基発333号)
■「使用者の責めに帰すべき事由」があるかどうかの判断⇒派遣元の使用者についてなされます。


【問題】労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病を理由として医師の証明に基づき、当該証明の範囲内において使用者が休業を命じた場合には、当該休業を命じた日については労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するので、当該休業期間中同条の休業手当を支払わなければならない。

(平成23年 問6A)

【解答】×
【解説】(法26条、昭和23年10月21日基発1529号)
私傷病を理由として休業を命じた場合、休業手当を使用者が支払うのかどうかが論点です。
このケースでは、あくまで私傷病であの休業で「ノーワーク・ノーペイ」の原則通り休業手当を支払う必要はない
■健康保険の被保険者であれば、健康保険より、傷病手当金が支給される。


【問題】使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払われるべき休業手当については、労働の対償として使用者が労働者に支払う賃金には該当せず、必ずしも労働基準法第24条で定める方法により支払う必要はない。

(平成13年 問4D)
【解答】×
【解説】(法24条、昭和25年4月6日基収207号、昭和63年3月14日基発150号)
■法26条の休業手当=賃金
休業手当については、賃金と同じ扱いのため労働基準法24条の「賃金支払いの原則」の適用を受ける。


【問題】労働基準法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。

(平成18年 問2C)

【解答】○
【解説】(昭和24年3月22日基収4077号)
■労働基準法第26条の休業手当⇒民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障するという趣旨。
■労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められているについては、休業手当を支給する義務は生じないということで正しい。


【問題】最高裁の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。

(平成17年 問1E)

【解答】○

【解説】(法26条、ノースウエスト航空事件(昭和62年7月17日最高裁判決))
■労働基準法第26条の「使用者の責めに帰すべき事由」の解釈の問題です。
結論は、使用者側に起因する経営、管理上の障害を広く含む。


【問題】最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。

(平成24年 問1C)

【解答】○

【解説】(法26条、ノースウエスト航空判例)


【出来高払制の保障給】 (法27条)

【問題】ある会社で、出来高払制で使用する労働者について、保障給として、労働時間に応じ1時間当たり、過去3か月間に支払った賃金の総額をその期間の総労働時間数で除した金額の60パーセントを保障する旨を規定し、これに基づいて支払いを行っていた。これは、労働基準法第27条の出来高払制の保障給に関する規定に違反するものではない。

(平成17年 問1A)

【正解】○
【解説】(法27条、昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号)
出来高払制の保障給労働したにもかかわらず、成果が上がらないなどの理由で、低額の賃金しか受けられないことを防ぐために、労働時間に応じた一定額の保障給の支払いを使用者に義務づけたもの
■条文では、保障給に関して具体的な金額は定めていない。
■通達により『常に通常の実収賃金を余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めること』とされている。
■つまり、設問のように休業手当と同程度であれば違反ではない。


【問題】出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者の責めに帰すべき事由によって休業する場合において、使用者は、労働基準法第27条の規定に基づく出来高払制の保障給を支払わなければならない。

(平成13年 問4B)
【解答】×
【解説】(法26条、法27条、昭和23年11月11日基発1639号)
■出来高払制の保障給とは⇒使用者は労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
■設問の場合、使用者の責めに帰すべき事由で休業中⇒出来高払制の保障給でなく、使用者の責めに帰すべき事由なので休業手当が支払われることになる。


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