労働安全衛生法

《目次》

【安全衛生改善計画の作成の指示等】 (法78条)

【問題】都道府県労働局長は、労働安全衛生法第78条の規定により、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、安全衛生改善計画作成指示書により、事業者に対し、当該事業場の安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができる。
(平成23年 問9D)
【解答】○
【解説】(法78条1項、則84条)
都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、安全衛生改善計画作成指示書により、事業者に対し、当該事業場の安全衛生改善計画を作成すべきことを指示することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見をきかなければならないことになっている。(法78条2項)


【安全衛生診断】 (法80条)

【問題】都道府県労働局長は、労働安全衛生法第78条第1項の規定に基づいて事業者に対して安全衛生改善計画の作成の指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、同法第80条の規定に基づき、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。
(平成18年 問8D)
【解答】○
【解説】(法80条)
都道府県労働局長は、第78条第1項の規定による指示(安全衛生改善計画の作成指示)をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。
よって、問題文は正解である。


【問題】都道府県労働局長は、労働安全衛生法の規定により事業者に対し安全衛生改善計画を作成すべきことを指示した場合において、必要があると認めるときは、当該事業者に対し、併せて、当該計画の実施状況について、一定の期間ごとに労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタント(以下「コンサルタント」という。)による安全衛生監査を受けるべきことを勧奨することができる。
(平成15年 問10D)
【解答】×
【解説】(法80条)
■設問のように「安全衛生監査を受けること」を勧奨…という規定はない。
■都道府県労働局長は、安全衛生改善計画の作成の指示をした場合で専門的な助言を必要とすると認めるとき
⇒事業者に対し、コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成についてコンサルタントの意見を聴くべきことを勧奨することができる。


【労働安全・労働衛生コンサルタント】 (法81条〰87条)

【問題】労働安全コンサルタント試験は機械、電気、化学、土木、建築の区分ごとに行われるが、これらの区分はコンサルタントとしての活動分野を限定するものではなく、例えば「化学」の区分で試験に合格した者が、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、建築工事の安全についての診断及びこれに基づく指導を業として行うことができる。
(平成18年 問8C)
【解答】○
【解説】(法81条1項、法82条2項、コンサルタント則1条)
労働安全コンサルタント試験の試験区分は、機械、電気、化学、土木、建築とされているが、試験に合格した者は、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とすることができる。(受験した区分の活動のみに制限されるわけではない)
よって、問題文は正解となる。


【問題】労働安全衛生法においては、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントでない者は、労働安全コンサルタント若しくは労働衛生コンサルタント又はこれらに類似する名称を用いてはならない旨規定されている。
(平成15年 問10C)
【解答】×
【解説】(法9章2節)
■設問のようなのような規定はないため誤り。


【問題】労働安全衛生法においては、コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならず、コンサルタントがこれに違反した場合には、厚生労働大臣はその登録を取り消さなければならない旨規定されている。
(平成15年 問10E)
【解答】×
【解説】(法85条2項、法86条1項)
■「厚生労働大臣はその登録を取り消さなければならない」ではなく「厚生労働大臣はその登録を取り消すことができる」と規定。


【計画の届出等】 (法88条)

【問題】労働安全衛生法第88条第1項ただし書の規定により、同法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置並びに労働安全衛生規則第24条の2の指針(以下「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」という。)に従って事業者が行う自主的活動を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、同法第88条第1項の規定による建設物等の設置等の計画の届出をしなくてもよいこととされているが、同条第2項の規定に基づく機械等の設置等の計画の届出については、免除されるものではない。
(平成18年 問10A)
【解答】×
【解説】(法88条1項・2項、則87条)
製造業(一定のものを除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業で電気使用設備の定格容量の合計が300キロワット以上の事業場に係る建設物、機械等(仮設の建設物又は機械等で6か月未満で廃止するものを除く。)を設置し、移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、労働基準監督署長等に届け出なければならないことになっている。
また、機械等のうち危険若しくは有害な作業を必要とするもの等の設置等についても同様に計画の届出が必要とされている。(法88条2項)
しかしながら、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置並びに労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針に従って事業者が行う自主的活動を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、建設物又は機械等(危険若しくは有害な作業を必要とするもの等である場合も含む)の設置等の計画の届出は免除されることになっている。
よって、「同条第2項の規定に基づく機械等の設置等の計画の届出については、免除されるものではない」とした問題文は誤りである。


【問題】労働安全衛生法第88条第1項ただし書の規定による労働基準監督署長の認定を受けようとする事業者は、労働安全衛生規則第87条に規定する同法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置並びに労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針に従って事業者が行う自主的活動の実施状況について、1人以上の安全に関して優れた識見を有する者又は衛生に関して優れた識見を有する者による評価を受けなければならない。
(平成18年 問10B)
【解答】×
【解説】(法88条1項、則87条の5第1項)
建設物又は機械等の設置等の計画の届出の免除をうけるために、労働基準監督署長の認定を受けようとする事業者は、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置並びに労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針に従って事業者が行う自主的活動の実施状況について、申請の日前3月以内に2人以上の安全に関して優れた識見を有する者又は衛生に関して優れた識見を有する者による評価を受けなければならないこととされている。
よって、「1人以上」とした問題文は誤りである。
なお、評価について、1人以上の安全に関して優れた識見を有する者及び1人以上の衛生に関して優れた識見を有する者による監査を受ける必要もある。


【問題】労働安全衛生法第88条第1項ただし書の規定による労働基準監督署長の認定は、3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
(平成18年 問10C)
【解答】○
【解説】(法88条1項、則87条の6第1項)
建設物又は機械等の設置等の計画の届出の免除をうけるための労働基準監督署長の認定は、3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、効力を失うことになる。
よって、問題文は正解である。


【問題】労働安全衛生法第88条第1項ただし書の規定による労働基準監督署長の認定を受けた事業者は、認定に係る事業場ごとに、6か月以内ごとに1回、実施状況等報告書に労働安全衛生規則第87条の措置の実施状況について行った監査の結果を記載した書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(平成18年 問10D)
【解答】×
【解説】(法88条1項、則87条の7)
■「6か月以内ごとに1回」ではなく「1年以内ごとに1回」
■労働安全衛生法第88条第1項ただし書の規定による労働基準監督署長の認定とは⇒建設物又は機械等の設置等の計画の届出の免除に係る労働基準監督署長の認定


【問題】建設業に属する事業者は、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準耐火建築物における石綿等の除去の作業を行う仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

(平成18年 問10E)
【解答】×
【解説】(法88条4項、則90条)
■「当該仕事の開始の日の30日前まで」ではなく「当該仕事の開始の日の14日前まで」


(参考)
計画の届出等の補足
1.特に大規模な建設業(高さ300メートル以上の塔の建設、長さ3,000メートル以上のずい道等の建設など)を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。
2.建設業(ずい道等の建設、石綿等が吹き付けられている耐火建築物等における石綿等の除去の作業など)、土石採取業を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
3.上記1及び2の場合は、労働基準監督署長の認定を受けても計画の届出の免除をうけることはできない。

  

【報告等】 (法100条)

【問題】派遣中の労働者が派遣就業中に労働災害により死亡し、又は休業した場合における労働安全衛生規則第97条の規定に基づく労働者死傷病報告の提出は、派遣先の事業者のみが行えば足りる。
(平成16年 問8C)
【解答】×
【解説】(法100条、則97条1項、様式23号・24号)
■設問の場合は、派遣元及び派遣先の事業者双方に労働者死傷病報告書の提出義務がある。


 

【罰則】 (法116条〰123条)

【問題】労働安全衛生法第122条では、法人の代表者が同法の違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった場合には、同人も行為者として罰せられる旨の規定が置かれている。
(平成18年 問8B)
【解答】×
【解説】(法122条)
法122条は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」と規定されており、問題文の内容とは異なる。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、労働基準法121条2項には、問題文と同趣旨の規定(両罰規定)がある。


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