国民年金法

《目次》 【脱退一時金】

【脱退一時金】

【問題】厚生年金保険法に規定する脱退一時金の支給を受けることができる者であっても、所定の要件を満たしていれば、国民年金法に規定する脱退一時金の支給を請求することができる。
(平成23年 問2C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2第1項、厚年法附則29条1項)
■国民年金法の脱退一時金の支給要件

(1)請求のときに日本国籍を有していないこと

(2)国民年金の第1号被保険者としての被保険者期間が6か月以上であること

(3)老齢基礎年金等の保険料納付要件を満たしていないこと

(4)脱退一時金の請求をしたこととされている。
■厚生年金法の脱退一時金の支給要件

(1)請求のときに日本国籍を有していないこと

(2)厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上であること

(3)老齢厚生年金等の保険料納付要件を満たしていないこと

(4)脱退一時金の請求をしたこととされている。


【問題】脱退一時金は、平成6年11月9日時点で日本国内に住所を有しない者には支給されないが、同日に国民年金の被保険者であった者及び同日以後国民年金の被保険者となった者には支給される。
(平成16年 問8A)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2、法附則8条1項)
短期在留の外国人については保険料納付要件が給付に結びつかず、保険料が掛け捨てになるという問題があったが、経過措置として、平成6年改正法公布日(平成6年11月9日)に国民年金の被保険者であった者及びそれ以後に被保険者になった者に対して脱退一時金が支給されるようになった。
なお、実際に脱退一時金の請求ができるのは、平成6年改正法の施行日(平成7年4月1日)以降である。


【問題】日本国籍を有しない者であって、被保険者である者は、脱退一時金を請求することができる。

(平成20年 問4B)
【解答】×
【解説】(法附則9条の3の2第1項)
脱退一時金の支給要件を満たす者であっても次の場合は請求することができない。
(1)日本国内に住所を有するとき
(2)障害基礎年金等の給付の受給権を有したことがあるとき
(3)最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
(4)国民年金法の年金給付に相当する給付を行うことを目的とする外国の法令の適用を受ける者又は当該外国の法令の適用を受けたことがある者であって政令で定めるものであるとき
よって、問題文は誤りとなる。


【問題】脱退一時金の額は、請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る請求の日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が 6か月以上ある場合にその期間に応じて、定
(平成16年 問8D)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2第3項)
脱退一時金の額は、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る請求の日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が6月以上ある場合に次のとおり支給される。

対象月数 基準月が平成21年度の場合の金額
6月以上12月未満 43,980円
12月以上18月未満 87,960円
18月以上24月未満 131,940円
24月以上30月未満 175,920円
30月以上36月未満 219,900円
36月以上 263,880円

(参考)
1.対象月数
請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る請求の日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数
2.基準月
請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間のうち請求の日の前日までに当該期間の各月の保険料として納付された保険料に係る月のうち直近の月
3.脱退一時金の自動変更
基準月が平成18年度以後の脱退一時金の額は、保険料の引き上げに応じて、政令で自動的に改定される。


【問題】脱退一時金の要件の一つとして、請求日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が6か月以上あることが必要である。

(平成19年 問8E)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2第1項)
脱退一時金の支給要件として、(1)請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が6月以上であること、(2)請求時に日本国籍を有していないこと(被保険者でない者に限る)、(3)老齢基礎年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、(4)脱退一時金の支給を請求したことが必要であるとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、次の場合には脱退一時金の請求をすることができないとされている。
(1)日本国内に住所を有するとき
(2)障害基礎年金その他政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき
(3)最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
(4)国民年金法による年金給付に相当する給付を行うことを目的とする外国の法令の適用を受ける者又は当該外国の法令の適用を受けたことがある者であって政令で定めるものであるとき


【問題】脱退一時金の額は、付加保険料を3年以上納付している場合には、一律8,500円が加算される。
(平成17年 問3B)
【解答】×
【解説】(法附則9条の3の2第3項)
付加保険料を納付している場合であっても、脱退一時金の額に加算されない。
よって、「付加保険料を3年以上納付している場合には、一律8,500円が加算される」とした問題文は誤りである。
なお、死亡一時金については、付加保険料を3年以上納付している場合は、8,500円が加算されることになっている。(法52条の4第2項)


【問題】脱退一時金の支給について、請求の日の属する月の前日までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を3か月及び保険料4分の3免除期間を4か月有する者であって、法所定の要件を満たすものは、その請求をすることができる。
(平成22年 問2A)
【解答】×
【解説】(法附則9条の3の2第1項)
脱退一時金の支給要件は、(1)請求のときに日本国籍を有していないこと、(2)国民年金第1号被保険者としての被保険者期間が6か月以上あること、(3)老齢基礎年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、(4)脱退一時金の支給を請求したこととなっている。
このうち、国民年金第1号被保険者としての被保険者期間が6か月以上あることの要件は、請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数、保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した額が6か月以上あるかどうかで判断される。
問題文の場合、保険料納付済月数3か月と保険料4分の3免除期間4か月なので、被保険者期間は、3か月+1か月(4か月×4分の1)で4か月となり、被保険者期間が6か月以上ないため、他の要件を満たしていたとしても脱退一時金の支給を受けることができず、誤りの肢となる。


【問題】脱退一時金の額は、改定率の改定による自動改定(賃金・物価スライド)の対象とされないが、保険料の額の引上げに応じて、毎年度改定される。
(平成22年 問3B)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2第8項)
脱退一時金の額は、改定率の改定による自動改定の対象とされていない。
基準月が平成18年度以後の年度に属する月である場合の脱退一時金の額は、毎年度、法定の額(基準月が平成17年度に属する月である場合の支給額)に当該年度に属する月分の保険料の額の平成17年度に属する月分の保険料の額に対する比率を乗じて得た額を基準として、政令で定めることとされている。
よって、問題文は正解となる。


【問題】脱退一時金の支給要件の1つとして、最後に被保険者の資格を喪失した日(同日に日本国内に住所を有していた者にあっては、その後初めて日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過していることが必要である。
(平成23年 問1C)
【解答】×
【解説】(法附則9条の3の2第1項)
最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から2年を超えた場合においては、脱退一時金の支給ができないものとされている。
これは、請求の期限を、外国人が日本国内に住所を有しなくなって被保険者資格を喪失してから2年以内に限る趣旨であるが、国内にいるときに60歳到達により資格を喪失したときは、それ以後国内に住所を有しなくなったときから2年以内に請求しなければならないということである。
よって、「2年を経過していることが必要」とした問題文は誤りとなる。


【問題】脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となった第1号被保険者としての被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなされる。
(平成20年 問2C)
【解答】○
【解説】(法附則9条の3の2第4項)
脱退一時金の支給を受けた場合には、その額の計算の基礎となった国民年金の被保険者期間はすべて被保険者でなかったものとみなされることになっている。
よって、問題文は正解となる。


【問題】日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない55歳の任意加入被保険者が、60歳に達する前に被扶養配偶者となった場合は、当該任意加入被保険者の資格を喪失する。
(平成20年 問2E)
【解答】○
【解説】(法7条1項3号、法附則5条9項3号)
任意加入している海外居住者が60歳に達する前に被扶養配偶者となったときは、国民年金3号被保険者となるため、その日に任意加入被保険者の資格を喪失することになる。
よって、問題文は正解となる。


【問題】遺族基礎年金(旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の裁定替えされた遺族基礎年金を除く。)の受給権を有したことがある者は、脱退一時金の支給要件を満たした場合でも、当該脱退一時金の支給を請求することはできない。
(平成21年 問6B)
【解答】×
【解説】(法附則9条の3の2第1項、令14条の3)
脱退一時金の支給要件は、①請求のときに日本国籍を有していないこと、②国民年金の第1号被保険者としての被保険者期間が6か月以上であること、③老齢基礎年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、④脱退一時金を請求したこととされている。
しかし、次のいずれかに該当する場合は、脱退一時金の請求ができないことになっている。
(1)日本国内に住所を有する場合
(2)本人の納付した保険料が(※)障害基礎年金等の給付の受給権に結びついたことがある場合
(3)最後に国民年金の被保険者を喪失した日から2年を超えた場合
(4)外国との年金通算協定の締結等により国民年金法による老齢給付に相当する給付を受けられるようになった場合等
よって、本問の場合は脱退一時金の請求ができるため、「当該脱退一時金の支給を請求することはできない」とした問題文は誤りとなる。

(※)障害基礎年金等の給付(国民年金法施行令14条の3)
(1)旧陸軍共済組合等の組合員であった期間を有する者に対する老齢年金
(2)旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の裁定替えされた遺族基礎年金
(3)旧法による障害年金、母子年金、準母子年金及び老齢福祉年金(老齢特別給付金を含む。)
(C)昭和61年4月1日において、障害福祉年金からいわゆる裁定替された障害基礎年金、旧国民年金法による障害年金、旧厚生年金保険法による障害年金、その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの(以下「障害年金等」という。)を受ける権利を有し、かつ、当該障害年金等を受ける権利を有するに至った日(一部の障害年金は、政令で定める日)から昭和61年3月31日までの期間に旧国民年金法に規定する保険料納付済期間を有する者(一部の者は除く。)は、特別一時金の支給を請求することができる。
(平成21年 問6C)
【解答】○
【解説】(法附則94条(昭和60年5月1日法律第34号))
昭和61年4月1日において、旧厚生年金保険法等の障害年金等を受ける権利を有し、かつ、当該障害年金等を受ける権利を有するに至った日(一部の障害年金は、政令で定める日)から昭和61年3月31日までの期間に旧国民年金法に規定する保険料納付済期間を有する者(一部の者は除く。)は、特別一時金の支給を請求することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
特別一時金の制度趣旨
昭和61年3月31日までの旧国民年金法では、厚生年金保険の障害年金受給権者は国民年金の適用除外とされており、本人が希望すれば任意加入できることとされていた。この者が任意加入していた場合は、国民年金及び厚生年金保険とでは制度が異なるために厚生年金保険の障害年金と国民年金の老齢年金が併給されることとなっていたが、昭和61年4月1日の国民年金法改正においては、制度間を含めて一人一年金の原則が適用されることとなったため、厚生年金保険の障害年金と国民年金の老齢基礎年金のいずれか一方を選択することとなった。このような事例について、今後も従来どおり併給することとすれば、基礎年金を重複して支給するのと同様の結果が生ずることとなるため、併給はしないが、このような加入の事情の特殊性に鑑みて特別一時金を支給することとされた。