国民年金法

《目次》

【法定免除】 (法89条)

【問題】刑務所で服役していることを事由として、保険料が法定免除の対象になることはない。
(平成21年 問7E)
【解答】○
【解説】(法89条、令6条の5、則74条、則74条の2)

■設問のとおり正しい。
■保険料の法定免除に該当する場合
(1)障害基礎年金又は被用者年金各法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付その他の障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの受給権者(最後に厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)であるとき
(2)生活保護法による生活扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき
(3)厚生労働省令で定める施設(国立ハンセン病療養所等)に入所しているとき

【問題】第1号被保険者(保険料の一部免除を受ける者を除く。)が保険料の法定免除に該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、納付することを要しない。
(平成23年 問9A)
【解答】○
【解説】(法89条)
■設問のとおり正しい。

【問題】障害基礎年金の受給権は有していなくても、3級の障害厚生年金の受給権を有していれば、国民年金保険料の法定免除が適用される。
(平成16年 問10B)
【解答】×
【解説】(法89条1号)
■障害等級3級の障害厚生年金の受給権を有していても、法定免除の対象とはならない。


【問題】第1号被保険者が障害基礎年金の受給権を取得した日の属する月の前月から、保険料が申請により免除される。
(平成16年 問2A)
【解答】×
【解説】(法89条1項1号)
■設問の場合、申請により免除ではなく、法律上当然に免除されるため誤り。

■被保険者(保険料4分の3免除、半額免除、4分の1免除の適用を受ける被保険者を除く)が、障害基礎年金の受給権者となった場合は、法定免除に該当。

■該当するに至った日の属する月の前月から該当しなくなる日の属する月までの期間の保険料が免除される。

【問題】障害等級3級の障害厚生年金の受給権者は、国民年金法第89条に定める規定(いわゆる法定免除)により、保険料の納付が免除される。
(平成13年 問8C)
【解答】×
【解説】(法89条1項1号、令6条の5第1項1号)
■障害等級3級の障害厚生年金の受給権者は、法定免除の対象にならないので誤り。
■法定免除の対象⇒
・障害基礎年金の受給権者
・障害等級1級又は2級の障害厚生年金(障害共済年金)の受給権者
■法定免除の適用を受けている障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者⇒障害の状態が軽減し、障害等級3級の状態に該当しないほど回復した場合⇒不該当から3年間は引き続き保険料が免除される。

【問題】被保険者が、生活保護法による生活扶助を受けるに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から保険料を納付すること を要しない。
(平成14年 問5D)
【解答】×
【解説】(89条)

■「該当するに至った日の属する月の翌月から」⇒「該当するに至った日の属する月の前月から」にすると正しい。

■被保険者(保険料半額免除の適用を受ける被保険者は除く)が、生活保護法による生活扶助を受けるに至った場合⇒該当するに至った日の属する月の前月から該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、納付することを要しない。(法定免除) 


【問題】被保険者が生活保護法による生活扶助を受ける場合、申請により保険料の納付は免除される。
(平成16年 問2D)
【解答】×
【解説】(法89条2号)
■設問の場合、申請により免除されるのではなく、法律上免除になる。

【問題】学校教育法に規定する大学に在学する学生等であって、いわゆる学生納付特例制度の適用対象となる被保険者が、法定免除の適用対象者となる場合、当該学生等である期間については、学生等の納付特例制度が優先され、法定免除制度は適用されない。
(平成21年 問10B)
【解答】×
【解説】(法89条1項、法90条の3)
■法定免除の要件に該当する場合には、学生納付特例より法定免除の規定が優先されるので誤り。 

【問題】いわゆる法定免除の事由に該当するに至ったときは、厚生労働大臣がその事由に該当するに至ったことを確認したときを除き、所定の事項を記載した届書に国民年金手帳を添えて、14日以内に、日本年金機構に提出しなければならない。(一部改正)
(平成21年 問7B)
【解答○】
【解説】(則75条)
国民年金保険料の法定免除の要件に該当したときは、所定の事項を記載した届書に、国民年金手帳を添えて、14日以内に日本年金機構に提出しなければならない。ただし、厚生労働大臣が国民年金保険料の法定免除の要件に該当したことを確認したときは、この限りでない。
よって、問題文は正解となる。

【申請免除(全額免除)】 (法90条)

【問題】市町村長は、被保険者に所得がなく、世帯主又は配偶者に保険料を納付することに著しい困難があると認めたときは、被保険者の申請により、保険料の納付を免除することができる。
(平成14年 問5A)
【解答】×
【解説】(法90条1項)
保険料免除の申請に基づく判断は社会保険庁長官が行うことになっている。>>>
ちなみに、この権限は地方社会保険事務局長に委任(令2条1項5号)され、さらに社会保険事務所長に委任(令2条2項)されている。)

【問題】会社を退職(失業)した者が、失業等を理由とする免除の申請を行う場合、申請のあった日の属する年度又はその前年度に当該失業等の事実がなけらばならない。当該事実を明らかにする書類として、雇用保険の被保険者であった者については、雇用保険受給資格者証の写し又は雇用保険被保険者離職票の写し等の書類を添付しなければならない。
(平成24年 問10D)
【解答】○
【解説】(法90条1項5号)
■設問のとおり正しい。

【問題】法第90条第1項に定めるいわゆる保険料の申請免除については、同一世帯における世帯主又は配偶者のいずれかが免除事由に該当しないときであっても、免除の対象となる。
(平成24年問3E)
【解答】×
【解説】(法90条1項)
■世帯主又は配偶者のいずれかが免除事由のいずれにも該当しないときは、設問の申請免除は適用されない。

【問題】国民年金の保険料免除の申請について、免除事由に該当する者が、平成24年7月に厚生労働大臣に免除の申請をした場合、厚生労働大臣が指定する免除期間は、平成23年7月から平成25年6月までの期間のうち必要と認める期間である。
(平成24年 問10C)
【解答】○
【解説】(法90条1項)
■設問のとおり正しい。

【問題】地方税法に定める障害者であって、前年の所得が125万円以下である者(連帯納付義務者はいないものとする。)から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(4分の1免除、半額免除、4分の3免除の適用を受ける期間及び学生等である期間若しくは学生等であった期間を除く。)に係る保険料につき、納付済及び前納されたものを除き、これを納付することを要しないものとすることができる

(平成19年 問7E 改題)
【解答】○
【解説】(法90条1項)
■設問のとおり正しい。
■被保険者本人が免除の要件を満たし保険料を納付できない場合であっても、世帯主又は配偶者が納付できる場合(免除の要件を満たさない場合)は、被保険者本人についても免除の対象とならない。

【問題】夫のみに所得がある夫婦と子供2人の世帯(夫50歳、妻45歳、子19歳、子13歳)であって、夫の前年の所得が162万円〔(3+1)×35万円+22万円〕以下のときは、申請により全額免除となる。(一部改正)
(平成16年 問2C)
【解答】○
【解説】(法90条1項1号、令6条の7)

■設問のとおり正しい。>>>
■前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、下記の額以下である場合は、全額免除の対象。
扶養親族等の数に1を加えた数を35万円に乗じて得た額に22万円を加算した額。
この基準を問題文に当てはめた場合は、「(夫(1人)+扶養親族の数(3人))×35万円+22万円」で162万円となるので全額免除の対象となり、正解の肢となる。

【申請免除(一部免除】 (法90条の2)

【問題】申請免除については、被保険者の前年の所得が、118万円に扶養親族1人につき35万円を加算した額以下の場合には半額免除となる。(一部改正)
(平成16年 問2B)
【解答】×
【解説】(法90条の2第1項1号、令6条の9)
前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、次の額以下である場合は、半額免除の対象となる。原則として扶養親族等がないときは118万円、扶養親族等があるときは118万円に当該扶養親族等1人につき38万円を加算した額。
よって、「扶養親族1人につき35万円を加算した額」とした問題文は誤りである。
なお、扶養親族等が所得税法に規定する老人控除対象配偶者又は老人扶養親族であるときは当該老人控除対象配偶者又は老人扶養親族1人につき48万円とし、扶養親族等が特定扶養親族であるときは当該特定扶養親族1人につき63万円とされている。

【学生納付特例】 (法90条の3)

【問題】学生等である第1号被保険者は、前年の所得が一定額以下の場合、社会保険庁長官に納付特例を申請し承認を受けた期間について、既に納付した期間及び前納した期間を除き、保険料の納付を要しないものとされる。
(平成13年 問8D)
【解答】○
【解説】(法90条の3第1項1号)
学生等又は学生等であった被保険者本人の前年の所得が、扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下である場合に、その学生等又は学生等であった被保険者から申請があったときは、社会保険庁長官は、その指定する期間(学生等である期間又は学生等であった期間に限る。)に係る保険料につき、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納が行われた場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができることになっている。

【問題】学生の保険料納付特例の申請を行い承認された者が、承認期間中に学校を退学した場合は、学生納付特例不該当届を提出しなければならない。
(平成24年 問10E)
【解答】○
【解説】(則77条の9)
■設問のとおり正しい。

【問題】学生の保険料納付特例は、平成27年6月までの間の経過措置とされている。
(平成24年 問8E)
【解答】×
【解説】(法90条3第1項)
■学生納付特例は経過措置ではないため誤り

【問題】第1号被保険者であって学生等である被保険者は、前年に所得がないときであっても、その者の親元の世帯に国民年金保険料を納付するについて著しい困難があると認められないときは、国民年金保険料の納付を要しないものとはならない。
(平成21年 問10A)
【解答】×
【解説】(法90条の3第1項、令6条の9、平成12年3月31日庁保険発15号)
学生である被保険者に係る保険料については、学生である被保険者本人の所得が一定以下の場合等において、申請により保険料の納付を要しないものとすることとされている。(学生納付特例)
よって、「国民年金保険料の納付を要しないものとはならない」とした問題文は誤りとなる。

【問題】学生等の納付特例の対象になる学生には、原則として夜間部の大学生や各種学校の学生は含まれない。
(平成18年 問9B)
【解答】×
【解説】(法90条の3第1項、令6条の6第8号、則77条の6第1項)
■学生等の納付特例の対象になる学生には、夜間部、定時制、通信制、各種学校の学生も含まれる。 

【問題】学生等の納付特例を受けた期間又は30歳未満の若年者の保険料納付猶予を受けた期間は、老齢基礎年金及び寡婦年金の年金額の算定対象から除外される。
(平成18年 問9C)
【解答】○
【解説】(法27条、法50条、法90条、法90の3、法附則19条4項(平成16年6月11日法律第104号))

■設問のとおり正しい。

■学生等の納付特例を受けた期間又は30歳未満の若年者の保険料納付猶予を受けた期間⇒

老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、老齢基礎年金(寡婦年金も同様)年金額算定上の対象期間とはされない。
■納付しなかった保険料は、10年以内であれば追納が可能。追納があった場合は、保険料納付済期間に算入される。

【問題】申請免除及び学生等の納付特例の期間は、申請した日の属する月の前月から厚生労働大臣の指定する月までである。

(平成18年 問9A 改題)
【解答】×
【解説】(法90条1項、法90条の3)
申請免除及び学生等の納付特例の期間は、厚生労働大臣が指定する期間とされている。
よって、「申請した日の属する月の前月から厚生労働大臣の指定する月まで」とした問題文は誤りである。
なお、平成17年4月前については、申請免除の期間は、「申請した日の属する月の前月から社会保険庁長官の指定する月まで」とされており、具体的には、前年の所得が確定するのが6月であるため社会保険庁長官の指定する月は、申請日の属する年の6月(申請日の属する月が7月から12月である場合は、翌年の6月)とされていたため、免除の申請が遅れた場合には、遡及して免除されなかった。
しかしながら、申請が遅れた場合でも、免除の一般的な要件となる前年の所得に変更はないことから、法改正により、平成17年4月以降は、申請免除の承認期間の始期について、申請月の直前の7月に遡及することができることになり、被保険者でなくなったときにも遡及申請することができるようになった。(学生等の納付特例期間も同様)

【問題】学生納付特例制度が利用できる者は、保険料の申請免除のうち、全額免除は適用されないが、半額免除は適用される。
(平成16年 問10C)
【解答】×
【解説】(法90条1項、法90条の2第2項)
学生等の保険料納付特例の対象になる者については、保険料全額免除及び保険料半額免除の規定は適用されないことになっている。
よって、「全額免除は適用されないが、半額免除は適用される」とした問題文は誤りとなる。
なお、学生等の保険料納付特例の対象になる者については、保険料4分の3免除及び4分の1免除の規定も適用されない。(法90条の2第1項・3項)

【問題】学生等として保険料の納付特例の承認を受けた期間については、追納を行わない限り、老齢基礎年金及び寡婦年金の年金額を算定する上で、保険料の納付がなかった期間とされる。
(平成13年 問8E)
【解答】○
【解説】(法27条、法50条、法90条の3、法94条)
■学生等の保険料納付特例により保険料を免除された期間(追納を行った期間は除く)⇒老齢基礎年金等の年金額には反映されないが、受給資格期間には算入される。

【問題】学生等であって保険料を納付することを要しないものとされた被保険者が、卒業等により政令で定める学生でなくなったときは、必要な事項を記載した届書に、国民年金手帳を添えて、これを年金事務所等に提出しなければならない。
(平成22年 問6E)
【解答】×
【解説】(平成19年6月29日庁保険発629002号)
則77条の9
学生等の保険料納付の特例に係る被保険者が学生等でなくなったときは、被保険者の氏名・生年月日・住所・基礎年金番号を記載した届書に、国民年金手帳を添えて、これを日本年金機構に提出しなければならないこととされている。(学生等の保険料納付の特例に係る不該当の届出)
しかし、学生等の保険料納付の特例に係る不該当の届出は、その原因が卒業であるときは届出する必要はないことになっている。
よって、「卒業等により政令で定める学生でなくなったとき」とした問題文は誤りとなる。

 


在外邦人の諸手続の事務は、本人の日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所又は市町村長(特別区の区長を含む。)が行うこと、この場合において、本人が日本国内に住所を有したことがないときの事務は、千代田年金事務所が行うこととされている。
よって、「本人の日本国内における住所地等に係わりなく」とした問題文は誤りとなる。

【若年者納付猶予】 (法附則19条)

【問題】保険料の半額免除期間及び学生納付特例期間を有する者が保険料を追納する場合には、追納は学生納付特例期間から先に行う。

(平成15年 問3A)
【解答】×
【解説】(法94条2項)
■原則⇒学生納付特例又は30歳未満の若年者納付猶予制度により保険料が免除された期間については、老齢基礎年金の額に反映しないため優先的に行う。
■例外⇒学生納付特例又は30歳未満の若年者納付猶予制度により納付することを要しないものとされた保険料より前に納付義務が生じる場合⇒法定免除、全額免除、一部免除により納付することを要しないものとされた保険料があるときは、当該保険料について、先に経過した月の分の保険料から追納をすることもできる。