【老齢厚生年金の額】 (法43条)


【問題】老齢厚生年金の経過的加算の額の計算における老齢基礎年金相当部分の額を計算する場合に、厚生年金保険の被保険者期間のうち、昭和36年4月1日以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間については、生年月日に応じた乗率を乗じて得た月数を基礎とする。
(平成18年 問5E)
【解答】×
【解説】(法附則59条2項)
■設問のように経過的加算額の計算における老齢基礎年金相当部分の額の計算について、生年月日に応じた乗率を乗じることはないので誤り。
■経過的加算⇒特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、65歳に達したことにより定額部分が老齢基礎年金に移行した場合、年金の総支給額が低下しないように加算するもの。

【問題】平成12年の法改正により、基金が支給する代行部分についても給付水準の5%適正化の対象となったが、昭和16年4月1日以前生まれの者及び平成12年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を取得した者については適用されない。
(平成18年 問5D)
【解答】×
【解説】(法132条2項、法附則9条1項、法附則24条)
■「昭和16年4月1日以前生まれの者」⇒「昭和15年4月1日以前生まれの者」にすれば正しい。
■(平成12年の法改正)厚生年金基金が支給する代行部分について、給付水準の5%適正化(給付の引き下げ)の対象に。
ただし、
・昭和15年4月1日以前に生まれた者(平成12年4月1日において60歳以上の者)
・平成12年4月1日前に支給事由の生じた老齢厚生年金の受給権者
⇒経過措置として、給付水準の5%適正化の対象外

【問題】60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分と昭和36年4月1日以後の20歳以上65歳未満の厚生年金保険の被保険者期間に係る老齢基礎年金相当額に差があるときは、当該差額を老齢基礎年金に経過的に加算する。
(平成19年 問2C)
【解答】×
【解説】(法附則59条2項)
■設問の差額(経過的加算額)は「老齢基礎年金」ではなく「老齢厚生年金」に加算される。

【退職時改定】 (法43条3項)

【問題】被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額が改定される。
(平成20年 問10D)
【解答】○
【解説】(法43条3項)
■設問のとおり正しい。
■被保険者が退職し厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した場合⇒資格喪失後1か月を経過したときに、当該被保険者期間を加えて年金の額を改定。(退職時改定)

【問題】60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日の属する月から年金の額を改定する。
(平成23年 問9B)
【解答】
【解説】(法43条3項)
■「資格を喪失した日の属する月」⇒「資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月」にすれば正しい。

【老齢厚生年金の加給年金額】 (法44条)

【問題】年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上である老齢厚生年金に加算される加給年金額の対象となる子の年齢要件については、当該子が厚生年金保険法で定める障害等級(以下、「障害等級」という。)1級又は2級に該当する障害の状態にないときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間、及び当該子が障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にあるときは20歳未満である。
(平成19年 問4D)
【解答】○
【解説】(法44条1項)
■設問のとおり正しい。
■加給年金額の対象となる子の年齢要件
・障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にない場合⇒18歳の誕生日の属する年度の年度末まで
・障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子の場合⇒20歳到達時まで

【問題】加給年金額に係る生計維持関係は、受給権者がその権利を取得した当時その者と生計を同じくする者であり、かつ厚生労働大臣が定める年収850万円(年間所得655万5千円)以上の収入を有すると認められない者であって、近い将来に年収が850万円(年間所得655万5千円)未満になると見込まれる者については、維持関係があるとは認定されない。
(平成18年 問7A)
【解答】×
【解説】(法44条5項、令3条の5)
■「維持関係があるとは認定されない」⇒「生計維持関係が認定される」にすれば正しい。
■生計維持関係があると認められるのは⇒受給権者と生計を同じくしていた者であって厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者。
つまり、生計維持認定に係わる収入要件を満たす場合は
1.前年の収入が年額850万円未満であること
2.前年の所得が年額655.5万円未満であること

【問題】老齢厚生年金及び障害厚生年金の受給権者の配偶者に対する加給年金額、老齢厚生年金の受給権者の子に対する加給年金額については、受給権者本人が68歳以降になっても、基礎年金の新規裁定者の改定率と同様の改定率によって改定する。
(平成18年 問7B)
【解答】○
【解説】(法44条2項)
■設問のとおり正しい。
■加給年金額の改定に係る改定率⇒年齢にかかわらず、基礎年金の新規裁定者に対する改定率(名目手取り賃金変動率)によって改定。
■加給年金額に上乗せして支給される特別加算額についても同様に名目手取り賃金変動率を基準として改定。

【問題】老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となる妻と子がある場合の加給年金額は、配偶者及び1人目の子については224,700円に、2人目以降の子については1人につき74,900円に、それぞれ改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額である。
(平成21年 問10D)
【解答】×
【解説】(法44条2項)
■加給年金額⇒配偶者においては224,700円に、子については2人目まで224,700円に、3人目以降は1人につき74,900円に、それぞれ改定率を乗じて得た額。

【問題】昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に係る配偶者の加給年金額に加算される特別加算額は、受給権者の生年月日に応じて33,300円から166,900円であって、受給権者の年齢が若いほど大きくなる
(平成19年 問4C)
【解答】○
【解説】(法附則60条2項)
■設問のとおり正しい。
■老齢厚生年金の受給権者が昭和9年4月2日以後生まれであるとき⇒受給権者の生年月日に応じて老齢年金の加給年金額に一定の加算(特別加算)。
■特別加算の額⇒平成24年度の物価スライド特例措置による額の場合、33,300円から166,900円(原則的な額は「33,200円×改定率」から「165,800円×改定率」)
■受給権者の年齢が若いほど大きい。

【問題】昭和9年4月2日から昭和15年4月1日までに生まれた者に支給する老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額については、224,700円に改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額に、170,700円に改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額である167,600円を加算した額とする。
(平成21年 問6E)
【解答】×
【解説】(法附則60条)
■「170,700円に改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額であ167,600円を加算した額」⇒「33,200円に改定率を乗じて得た額に端数処理をして得た額である32,600円を加算した額」にすれば正しい。

【問題】老齢厚生年金を受給している者の子(当該老齢厚生年金の受給権発生当時から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで加給年金額の対象となっていた子に限る。)が19歳となったときにはじめて障害等級1級又は2級の障害に該当する障害の状態になった場合において、当該子が20歳に達するまでは、当該子について加給年金額を加算する。
(平成21年 問4B)
【解答】×
【解説】(法44条4項)
■子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)に対する加給年金額の加算⇒

18歳に達した日以後最初の3月31日まで

■障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子を除く。)についてはその事情がやんだとき又は20歳に達するまで加給年金額の加算対象。

■設問の場合、18歳に達した日以後最初の3月31日を経過し、加給年金額の加算対象となる子に該当しなくなった後に、はじめて障害等級1級又は2級の障害に該当する障害の状態になっているため加算対象とはならない。

【問題】老齢厚生年金の受給権者について、受給権を取得した当時、生計を維持していた子が19歳に達した後初めて障害等級1級または2級に該当する障害の状態になった場合には、当該子が20歳に達するまでの間、加給年金額が加算される。
(平成22年 問6C)
【解答】×
【解説】(法44条4項)
■設問の場合、18歳に達した日以後最初の3月31日を経過し加給年金額の加算対象となる子に該当しなくなった後に、はじめて障害等級1級又は2級の障害に該当する障害の状態になっているため、再度、加給年金額の加算対象とはならない。

【問題】老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額は、20歳に達する日前までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、当該子が20歳に達するまで支給される。
(平成18年 問7D)
【解答】×

【解説】(法44条4項)

■「20歳に達する日前までに障害等級1級又は2級になった子」⇒「18歳に達した日以後の最初の3月31日までに障害等級1級又は2級になった子」にすれば正しい。

■老齢厚生年金に加算される子に係る加給年金額⇒18歳に達した日以後最初の3月31日までに障害等級1級又は2級になった子がある場合には、減額事由に該当しない限り、当該子が20歳に達するまで支給。

【問題】老齢厚生年金の受給権者であって、大正15年4月2日以後から昭和41年4月1日以前生まれの者については、その者の配偶者が65歳に達したときに加給年金額が加算されなくなり、振替加算も行われない。
(平成18年 問7C
【解答】×
【解説】(法44条4項、法附則14条1項)
■新法の適用を受ける老齢厚生年金の受給権者(原則として大正15年4月2日以後生まれの者)であれば、生年月日にかかわりなく、受給権者の配偶者が受給する老齢基礎年金に振替加算が行われるため誤り。。
■振替加算が行われる配偶者については、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた者であり、その配偶者自身が老齢厚生年金等(原則として被保険者期間が240月以上であるものに限る)の受給権を有していないことが要件。
よって、問題文は誤りとなる。
■振替加算は受給権者及びその配偶者ともに、新法適用者である場合に行われる。どちらかが旧法適用者である場合には、振替加算は行われず、厚生年金保険の老齢厚生年金等の受給権者に対する配偶者加給年額が引き続き加算される。

【問題】老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間が240月以上であるものとする。)の受給権を取得した当時胎児であった子が出生したときは、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していた子とみなし、その出生の月の翌月から年金額を改定する。
(平成24年 問10E)
【解答】○
【解説】(法44条3項)
■設問のとおり正しい。

(加給年金額の支給停止)

【問題】老齢厚生年金に係る加給年金額の加算について、障害基礎年金に加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額が支給を停止されている場合を除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
(平成19年 問4E)
【解答】○
【解説】(法44条1項但書)
■設問のとおり正しい。

■受給権者が65歳以上である場合、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給可能。

この場合に、障害基礎年金に子の加算がある時は、重複給付を防止するために、老齢厚生年金における子の加算については支給停止。

【問題】老齢厚生年金と障害基礎年金の併給について、受給権者に子がある場合であって、障害基礎年金の子に対する加算額が加算されるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、老齢厚生年金の当該子に対する加給年金額に相当する部分を支給停止する。なお、受給権者は、65歳に達しているものとする。
(平成24年 問3D)
【解答】○
【解説】(法44条1項ただし書)
■設問のとおり正しい。

【問題】老齢厚生年金と障害基礎年金を併給する者に老齢厚生年金の加給年金額の対象となる子がある場合に、その者に障害基礎年金の子の加算を行うときは、当該加算額に相当する部分について加給年金額の額を減額して支給停止する。
(平成18年 問7E)
【解答】×
【解説】(法44条1項)
■設問の場合は、全額が支給停止に。
■老齢厚生年金と障害基礎年金を併給している場合⇒障害基礎年金で子の加算が行われている場合(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、老齢厚生年金では、当該子についての加給年金額は支給停止される。

【問題】加給年金額が加算されている老齢厚生年金について、その対象となる妻が繰上げ支給の老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けることができるときは、いずれの場合も、その間、妻について加算される額に相当する部分の支給は停止となる。
(平成19年 問4A)
【解答】×
【解説】(法46条7項)

■妻(配偶者)が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合であっても、当該配偶者を対象とした加給年金額は支給停止されない。

■老齢厚生年金の配偶者加給の支給停止

①配偶者が老齢厚生年金(240月以上の被保険者期間を有するもの)

②障害厚生年金

③国民年金法による障害基礎年金

④共済組合が支給する年金給付等のうち老齢、退職又は障害を支給事由とする政令で定める年金給付を受けることができるとき

 

【問題】老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚生年金(その全額が支給を停止されているものを除く。)の支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
(平成22年 問2E)
【解答】○
【解説】(法46条7項)
■設問のとおり正しい。
■厚生年金保険の被保険者期間が240月未満の者であっても40歳以降の被保険者期間が15年以上(中高齢の期間短縮特例該当者)である場合⇒240月あるものとみなして加給年金額の支給を停止。