労働者災害補償保険法

《目次》【療養補償給付の範囲】【療養の費用】【指定病院等】【療養補償給付受給手続】

【療養(補償)給付の範囲】 (法13条)

【問題】療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送のほか、政府が療養上相当と認めるものに限られる。
(平成21年 問3C)
【解答】×
【解説】(法13条2項)
■療養の給付の範囲は、次のうち政府が必要と認めるもの限定。
①診察
②薬剤又は治療材料の支給
③処置、手術その他の治療
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送
■⑥の「移送のほか、政府が療養上相当と認めるものに限られる」とした箇所が誤り。


【問題】業務上の傷病について、労働基準法は、使用者がその費用で「必要な療養」を行い、又は「必要な療養の費用」を負担しなければならないとし、その「療養の範囲」として、労働基準法施行規則は具体的な療養項目のうち「療養上相当と認められるもの」と定めており、これに対応して、労災保険法は、療養補償給付たる「療養の給付」の範囲として、同様な療養項目のうち「政府が必要と認めるものに限る」と定めている。
(平成19年 問4B)
【解答】○
【解説】(法13条2項)
労働基準法⇒下記の療養項目のうち⇒ 「療養上相当と認められるもの」
労災保険法⇒下記の療養項目のうち⇒ 「政府が必要と認めるものに限る」


【問題】療養補償給付は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送であって、政府が必要と認めるものを対象としており、これらのうち①から⑤までについては「療養の給付」とし、⑥については「療養の費用」を支給することとされている。
(平成20年 問2D)
【解答】×
【解説】法13条
■設問の「⑥については「療養の費用」を支給することとされている。」箇所が誤り。
■療養の費用⇒療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由のある場合に、療養の給付に代えて支給。
■療養補償給付は、療養の給付が最優先。


【問題】療養の給付の範囲については、労災保険法第13条第2項各号に定められているが、いずれも「政府が必要と認めるものに限る」とされており、その具体的な範囲については、厚生労働大臣が告示で定めている。
(平成15年 問3A)
【解答】×
【解説】(法13条2項)
■療養の給付の範囲は、下記の範囲で、政府が必要と認めるものに限定。
1.診察
2.薬剤又は治療材料の支給
3.処置、手術その他の治療
4.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
5.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
6.移送
■具体的な範囲について厚生労働大臣の告示での規定なし。


【問題】療養の給付の範囲は、1診察、2薬剤又は治療材料の支給、3処置、手術その他の治療、4居宅における療養上の管理及びその療養に伴う 世話その他の看護、5病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、6移送であり、具体的に必要とされるものの範囲は、当該傷病に係るこれらの病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者の判断に委ねられる。
(平成14年 問2A)
【解答】×
【解説】(法13条2項)
■療養の給付の範囲
①診察
②薬剤又は治療材料の支給
③処置、手術その他の治療
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う 世話その他の看護
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送

『政府が認めるものに』
病院等が判断するものではない。


【問題】傷病の症状が残った場合でも、その症状が安定し、疾病が固定した状態になって治療の必要がなくなった場合には、傷病発生以前の状態に回復していなくても、傷病は治ゆしたものとして療養補償給付又は療養給付は行われない。
(平成21年 問3E)

【解答】○
【解説】(法13条)
■治ゆとは、症状が安定し、疾病が固定した状態。⇒治療の必要がなくなるので、療養補償給付又は療養給付は行われない。


【問題】療養補償給付のうち、療養の給付は、指定病院等において行われるほか、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院等においても行われる。
(平成21年 問3A)
【解答】×
【解説】(法13条、則11条1項)
■健康保険法の保険医療機関であっても、都道府県労働局長の指定する病院等(指定医療機関:労災指定病院)でない場合は、療養の給付を行うことはできない。


【問題】療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。

(平成24年 問4A)

【解答】○

【解説】(法13条)

■設問のとおり正しい。


【問題】療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

(平成24年 問3C)

【解答】○

【解説】(法13条)

■設問のとおり正しい。

■傷病補償年金の受給者は、傷病が治ゆしていないので、療養補償給付は引き続き行われる。


【療養の費用】 (法13条)

【問題】療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。
(平成19年 問4C)
【解答】○
【解説】(法13条3項、則11条の2)

■設問のとおり正しい。


【問題】療養の費用が支給されるのは、療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に緊急やむを得ない事情がある場合に限られる。
(平成15年 問3B)
【解答】×
【解説】(法13条3項、則11条)
■療養の費用を支給する場合⇒
療養の給付をすることが困難な場合
療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合
■「療養の給付を行うことが困難な場合」⇒
・当該地区に指定病院等がない場合
・特殊な医療技術又は診療施設を必要とする傷病の場合に最寄りの指定病院等にこれらの技術又は施設の整備がなされていない場合等
■「療養の給付を受けないことにつき相当の理由がある場合」⇒
・指定病院等以外の病院、診療所等で緊急な療養を必要とする場合
・最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等の事情がある場合


【問題】療養補償給付は、療養の給付として行われるのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難である場合のほか、労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。
(平成21年 問3B)
【解答】×
【解説】(法13条3項、則11条の2)
■「労働者が指定病院等でない病院等であっても当該病院等による療養を望む場合」は、療養の費用として該当しないので誤り。


【問題】療養補償給付又は療養給付は、社会復帰等促進事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において療養の給付を行うのが原則であるが、療養の給付を行うことが困難な場合その他療養の給付を受けないことについて当該労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することとなる。

(平成16年 問3A)
【解答】○
【解説】法13条、則11条1項、則11条の2
■設問のとおり正しい。


【指定病院等】 

【問題】療養の給付は、労災保険法第29条第1項の事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行われる。
(平成19年 問4A)
【解答】○
【解説】(法13条1項、則11条1項)
■療養の給付⇒
社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は
都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは
訪問看護事業者(居宅を訪問することによる療養上の世話又は必要な診療の補助(訪問看護)の事業を行う者)において行われる。


【問題】療養補償給付は、療養の給付を原則としており、この療養の給付は、労働福祉事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行うほか、都道府県労働局長の指定がなくても、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者であれば行うことができる。
(平成14年 問2B)
【解答】×
【解説】(則11条1項、則12条1項)
■療養の給付⇒労災指定病院等で行われる。
■保険医療機関等又は指定訪問看護事業者⇒労災保険法の療養の給付を行うためには、都道府県労働局長の指定を受けなければならない。


【問題】労災保険におけるリハビリテーション医療とは、業務上の事由又は通勤による傷病により療養中の労働者に対して当該傷病に係る本来の治療に加え、理学療法、作業療法等を個々の症例に応じ総合的に実施して、労働能力の回復を図り職場復帰への医学的指針を与えるまでの一連の行為をいい、療養補償給付又は療養給付の一環として行うものである。
(平成15年 問3C)
【解答】○
【解説】(法13条2項)
■リハビリテーション医療の定義そのもので正しい。
■労災保険におけるリハビリテーション医療の対象者⇒業務上の事由又は通勤による傷病により療養中の者で、リハビリテーション医療を行うことにより、労働能力の回復及び障害の軽減が見込まれる者。


【療養(補償)給付 受給手続】 

【問題】療養補償給付又は療養給付の請求書は、療養の給付又は療養の費用のいずれについても、療養を受ける病院、診療所等を経由し所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(平成20年 問3A)
【解答】×
【解説】(則12条1項、則12条の2第1項、則18条の5第1項、則18条の6第1項)
■療養(補償)給付たる療養の費用の支給を受けようとする者⇒所定の事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に直接提出(療養を受ける病院等を経由せずに直接)
■療養(補償)給付たる療養の給付を受けようとする者⇒所定の事項を記載した請求書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出。


【問題】療養の給付を受ける労働者が当該療養の給付を受ける指定病院等を変更しようとするときは、改めて所定の事項を記載した届書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、その承認を受けなければならない。
(平成21年 問3D)
【解答】×
【解説】(則12条3項)
■療養補償給付たる療養の給付を受ける労働者が、療養の給付を受ける指定病院等を変更しようとするとき⇒所定の事項を記載した届書を、新たに当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
■所轄都道府県労働局長に提出し、その承認を受ける必要はない。


【問題】療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、①労働者の氏名、生年月日及び住所、②事業の名称及び事業場の所在地、③負傷又は発病の年月日、④災害の原因及び発生状況、⑤傷病名及び療養の内容、⑥療養に要した費用の額、⑦療養の給付を受けなかった理由を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。この記載事項のうち事業主の証明を受けなければならないものとして、正しいものはどれか。
(平成22年 問3A~E)

(A)①~⑦

(B)②~⑦

(C)③~⑦

(D)③、④⇒正解

(E)③、④、⑦

(法13条、則12条の2)
■療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者⇒次に掲げる事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出。
①労働者の氏名、生年月日及び住所
②事業の名称及び事業場の所在地
③負傷又は発病の年月日⇒事業主の証明
④災害の原因及び発生状況⇒事業主の証明
⑤傷病名及び療養の内容⇒診療担当者の証明
⑥療養に要した費用の額⇒診療担当者の証明
⑦療養の給付を受けなかった理由


【問題】療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、その場合に、負傷又は発病の年月日、傷病の発生状況等をはじめ、傷病名及び療養の内容並びに療養に要した費用(病院又は診療所の労働者が提供する看護及び訪問看護又は移送に要した費用を除く。)の内容について、医師その他の診療担当者の証明を受ける必要がある。
(平成19年 問4D)
【解答】×
【解説】(法13条、則12条の2第1項・第2項)
■療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者⇒次の事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
・「負傷又は発病の年月日」及び「災害の原因及び発生状況」⇒事業主の証明
・「傷病名及び療養の内容」及び「療養に要した費用の額」⇒医師その他の診療、薬剤の支給、手当又は訪問看護を担当した者(診療担当者)の証明
を受けなければならない。


【問題】療養補償給付又は療養給付を受けようとする者は、療養の給付又は療養の費用の支給のいずれについても、所定の請求書を当該療養に係る病院若しくは診療所、薬局又は訪問看護事業者を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(平成15年 問3D)
【解答】×
【解説】(法13条3項、則12条の2第1項)
■療養(補償)給付⇒請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出。


【一部負担金】 (法31条2項)

【問題】療養給付を受ける労働者(厚生労働省令で定める者を除く。)は、その費用の一部として200円(健康保険の日雇特例被保険者にあっては100円)を負担する。ただし、療養給付を受ける労働者に支給する休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日に係るものについて厚生労働省令で定める額を減額した休業給付の支給を受けた労働者については、この限りでない。
(平成17年 問4A)
【解答】○
【解説】(法22条の2第3項、法31条2項)
■療養給付を受ける労働者⇒一部負担金として200円(健康保険の日雇特例被保険者は100円)を負担。
■ただし、実際に療養に要した額が負担すべき一部負担金に満たないときは実費相当額を負担
徴収方法⇒労働者に支給する休業給付の最初に支給すべき事由の生じた日の支給額から一部負担金相当額を減額することによって徴収。
一部負担金が徴収されない者
①第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者
②療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者
③同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者


【問題】第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者についても、一部負担金は徴収される。
(平成24年 問2D)
【解答】×
【解説】(法31条2項)
■設問の者は、一部負担金を徴収する者から除外されている。


【問題】政府は、療養給付を受ける労働者(法令で定める者を除く。)から、200円(健康保険法に規定する日雇特例被保険者である労働者については100円)を一部負担金として徴収する。ただし、現に療養に要した費用の総額がこの額に満たない場合は、現に療養に要した費用の総額に相当する額を徴収する。
(平成24年 問2B)
【解答】○
【解説】(法31条2項)
■設問のとおり正しい。


【問題】通勤災害により保険給付を受ける者は、その受ける保険給付の額を合計した額が厚生労働省令で定める額を超えることとなったときは、当該保険給付の費用の一部として、厚生労働大臣が定める額を負担しなければならない。
(平成19年 問7E)
【解答】×
【解説】(法31条2項・3項、則44条の2)
■「保険給付の額を合計した額が厚生労働省令で定める額を超えることとなったとき…」のような規定はないため誤り。
■通勤災害により療養給付を受ける労働者からは、原則、一部負担金として200円(健康保険法の日雇特例被保険者である労働者については、100円)を徴収。


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