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少子化社会対策大綱(令和2年5月)

少 子 化 社 会 対 策 大 綱

~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~

(令和2年5月)

 

※必要な個所だけをピックアップしています。

(下線及びマーカー箇所を中心に押さえてください。)

 

(深刻さを増す少子化)

我が国の少子化の進行、人口減少は深刻さを増している。

第2次ベビーブーム世代(いわゆる団塊ジュニア)が 40代後半になる中、2019 年の出生数(推計)は 86 4,000 人と過去最少を記録し、いわば「86 万ショック」とも呼ぶべき状況となった。

出生数の減少は予想を上回るペースで進んでおり、一旦は 1.45 まで回復した 合計特殊出生率もここ数年微減傾向にある。

出生数の減少と死亡数の増加を背景に、 我が国の総人口は、2008 年をピークに減少局面に入っている。

少子化の進行は、人口(特に生産年齢人口)の減少と高齢化を通じて、労働供給の減少、将来の経済や市場規模の縮小、経済成長率の低下、地域・社会の担い手の減少、現役世代の負担の増加、行政サービスの水準の低下など、結婚しない人や子供を持たない人を含め、社会経済に多大な影響を及ぼす。

時間的な猶予はない。今こそ結婚、妊娠・出産、子育ての問題の重要性を社会全体として認識し、少子化という国民共通の困難に真正面から立ち向かう時期に来ている。

 

■諸外国の取組に学び、長期的な少子化対策を実践する

フランスやスウェーデンは、出生率が一時期 1.51.6 台まで低下したが、国民負担を求めながら、経済的支援を含む子育て支援策の充実や仕事と育児の両立支援策など、長期間にわたり継続的かつ総合的な取組を進めてきたことにより、2000年代後半には 2.0 前後まで回復し、現在も比較的高い出生率を維持している 。

また、 日本同様、長期間出生率が低迷していたドイツでも、男女の家事育児負担の平等化女性の職場復帰を促したことにより、近年出生率の回復が見られ始めている

一方、アメリカは、1990 年代から 2000 年代にかけて2.0 前後の高い出生率を維持 してきたが、近年出生率が漸減している。

長期的な少子化対策を実践していく際には、こうした諸外国の取組を研究し、社会経済や国民負担の在り方の差異に留意しつつ、どのような施策が効果的で優先されるべきかという観点から、我が国の少子化対策を検討し、できることから速やかに着手することも重要である。

 

■少子化対策における基本的な目標

一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえる「希望出生率1.8」の実現に向け、令和の時代にふさわしい環境を整備し、国民が結婚、妊娠・出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により、希望する時期に結婚でき、かつ、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくることを、少子化対策における基本的な目標とする。

このため、若い世代が将来に展望を持てるような雇用環境の整備、結婚支援、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域・社会による子育て支援、多子世帯の負担軽減など、「希望出生率 1.8」の実現を阻む隘路の打破に取り組む。

もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに十分留意する。

 

■結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる

女性就業率の上昇に伴い、共働き世帯が増加している。

女性活躍の推進、 価値観の多様化などを背景に、子育てしながらキャリアアップを目指す女性や、 家事・育児に関わりたいという男性も増えつつある。

一方で、妻が正規雇用の世帯は全体の3分の1弱であり、子育て世代の男性は長時間労働者の割合が高い。

家事・育児の負担については、就業形態や就業の有無にかかわらず、依然として女性に偏っており、女性一人が育児をするいわゆる「ワンオペ育児」の状況もある