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社会保険労務士法の常連  補佐人制度(社会保険労務士法) 

社会保険労務士法 択一式の常連 補佐人制度

社会保険労務士法における「補佐人」を確認していきます。

 

平成27年の改正(社会保険労務士の補佐人制度創設)以降、「補佐人」に関する問題が、令和元年まで、毎年出題されていましたが、

令和2年で未出題。

令和3年で1肢出題されています。

(全部で8肢)

 

(平成27年は、3肢出題)

【特定社会保険労務士】と【補佐人】の相違をしっかり押さえてください。

 

社会保険労務士による補佐人

特定社会保険労務士

行政訴訟や労働審判に弁護士とともに出頭し、陳述し審理を円滑に進める。

「特定」に限定していません。

ADR(裁判外紛争解決手続)代理業務を行うことができる社会保険労務士。

 

2015年改正(平成27年)

・社労士補佐人制度創設

・個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続における紛争の目的の価額の上限の引上げ(60万円⇒120万円)

・社員が1人の社会保険労務士法人設立が可能

2007年改正(平成19年)

・ 裁判外紛争解決手続制度の代理権付与

 

民事訴訟の場合の補佐人は、裁判所の許可が必要になりますが、社会保険労務士の補佐人に関しては、裁判所の許可は不要です。

ただし、弁護士とともに出頭する必要があります。

(顧問先の労働問題に関して、裁判所に弁護士とともに出頭し、意見陳述を述べるイメージです。)

 

上記を踏まえて、本試験に出題された「補佐人」に関する7肢を確認していきます。

【令和3年 問5B 労1】

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。

 

 誤り

■解説

「陳述」は可能。尋問をすることはできません。

 

 

【令和元年 問5C 労1】

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人に代わって出頭し、陳述をすることができる。

誤り

■解説

(社会保険労務士法2条の2

1 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる

2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。

 

【平成30年 問5E 労1】

社会保険労務士法第2条の21項の規定により社会保険労務士が処理することができる事務について、社会保険労務士法人が、その社員である社会保険労務士に行わせる事務の委託を受ける場合、当該社会保険労務士法人がその社員のうちから補佐人を選任しなければならない。

誤り

■解説

補佐人の選任に関しては、社会保険労務士法人が選任することはできず、委託者が選

任することになります

 

【平成29年 問3A 労1】

社会保険労務士が、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述した場合、当事者又は訴訟代理人がその陳述を直ちに取り消し、又は更正しない限り、当事者又は訴訟代理人が自らその陳述をしたものとみなされる。

正解

■解説

社会保険労務士の補佐人としての陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなされまる。

例外…当事者又は訴訟代理人がその陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りではありません。

 

【令和28年 問5C 労1】

特定社会保険労務士に限り、補佐人として、労働社会保険に関する行政訴訟の場面や、個別労働関係紛争に関する民事訴訟の場面で、弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述することができる。

誤り

■解説

補佐人については、特定社会保険労務士に限定する規定はないので誤りです。

 

 

【平成27年 問3A 労1】

特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は60万円、特定社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は120万円とされている。

誤り

■解説

2カ所誤りです。

●前半の論点…特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は120万円になります。

 

●後半の論点…社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は規定されていないので誤りです。

 

設問では、後半の論点に「特定社会保険労務士」と記載されていますが、「社会保険労務士」でも正解です。

 

【平成27年 問3B 労1】

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

正解

■解説

条文そのもので正解です。

ポイントは、

弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することが可能。

②特定社会保険労務士に限定していない。

 

【平成27年 問3C 労1】

社会保険労務士法第2条の21項の規定により社会保険労務士が事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をする事務について、社会保険労務士法人は、その社員又は使用人である社会保険労務士に行わせる事務の委託を受けることができる。

正解

■解説

社会保険労務士法人は、補佐人として陳述をする事務について、事務の委託を受けることは可能なので正解です。