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令和元年 労働安全衛生法 問9の解説及び問題の解き方

〔問  9〕 労働安全衛生法第 42 条により、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないとされているものとして掲げた次の機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)のうち、誤っているものはどれか。

(A)プレス機械又はシャーの安全装置

(B)木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置

(C)保護帽

(D)墜落制止用器具

(E)天板の高さが 1 メートル以上の脚立

 

厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないとされているものとして具体的な機械名を挙げて誤っているものはどれかという問題です。

 

具体的に対象となる機械は全部で50種類あるため、記憶を辿って正誤の判断をするのは不可能です。

(機械名を眺めて時間を使っても正解の選択肢を見つけることはできません。)

 

 

ただし、考え方として、

厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならないとされているもの

ということで、極めて危険でリスクが伴う機械と考えることができます。

 

つまり、設問の中で危険やリスクが少ないものを正解肢(誤っているもの)として選ぶのも一つの判断材料になります。

 

(A)~(E)を確認すると

(A)プレス機械又はシャーの安全装置

⇒プレス機械とは、圧をかける機械。

シャーとは、切断する機械

ということで大きな危険が伴います。

 

(B)木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置

 

⇒丸のことは、回転させながら切断する機械。これも危険な機械

 

(C)保護帽

⇒保護帽そのものではなく、保護帽に欠陥があれば、命にかかわることになるので、これもしっかりとした規格が必要になります。

 

(D)墜落制止用器具

 

⇒墜落を制止する器具である安全帯(建設業等の高所作業において使用)でこれも命に係わるもの

 

(E)天板の高さが 1 メートル以上の脚立

⇒脚立に関しては、その長さが長いもので4メートル程度であり、上記の(A)~(D)に比べると、「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備」は大げさ過ぎるので誤りは、(E)になります

 

条文を確認します。

42条(譲渡等の制限等)

特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

  

以下は、参考です。

 

別表第二に掲げるもの

別表第二(第四十二条関係)

一 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置

二 第二種圧力容器(第一種圧力容器以外の圧力容器であって政令で定めるものをいう。次表において同じ。)

三 小型ボイラー

四 小型圧力容器(第一種圧力容器のうち政令で定めるものをいう。次表において同じ。)

五 プレス機械又はシャーの安全装置

六 防爆構造電気機械器具

七 クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置

八 防じんマスク

九 防毒マスク

十 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置

十一 動力により駆動されるプレス機械

十二 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置

十三 絶縁用保護具

十四 絶縁用防具

十五 保護帽

十六 電動ファン付き呼吸用保護具

 

その他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるもの

 

安衛令 第13条(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

法第42条 の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等

(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

1)アセチレン溶接装置のアセチレン発生器

2)研削盤、研削といし及び研削といしの覆い

3)手押しかんな盤及びその刃の接触予防装置

4)アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置の安全器

5)活線作業用装置(その電圧が、直流にあっては750ボルトを、交流にあっては600ボルトを超える充電電路について用いられるものに限る。)

6)活線作業用器具(その電圧が、直流にあっては750ボルトを、交流にあっては300ボルトを超える充電電路について用いられるものに限る。)

7)絶縁用防護具(対地電圧が50ボルトを超える充電電路に用いられるものに限る。)8)フォークリフト

9)別表第七に掲げる建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもの

10)型わく支保工用のパイプサポート、補助サポート及びウィングサポート

11)別表第八に掲げる鋼管足場用の部材及び附属金具

12)つり足場用のつりチエーン及びつりわく

13)合板足場板(アピトン又はカポールをフェノール樹脂等により接着したものに限る。)

14)つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満(スタッカー式クレーンにあっては、0.5トン以上一トン未満)のクレーン

15)つり上げ荷重が0.5トン以上3トン未満の移動式クレーン

16)つり上げ荷重が0.5トン以上2トン未満のデリック

17)積載荷重が0.25トン以上1トン未満のエレベーター

18)ガイドレールの高さが10メートル以上18メートル未満の建設用リフト

19)積載荷重が0.25トン以上の簡易リフト

20)再圧室

21)潜水器

22)波高値による定格管電圧が10キロボルト以上のエックス線装置(エックス線又はエックス線装置の研究又は教育のため、使用のつど組み立てるもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条第4項 に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

23)ガンマ線照射装置(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第4項 に規定する医療機器で、厚生労働大臣が定めるものを除く。)

24)紡績機械及び製綿機械で、ビーター、シリンダー等の回転体を有するもの

25)蒸気ボイラー及び温水ボイラーのうち、第1条第3号イからヘまでに掲げるもの(船舶安全法 の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法 の適用を受けるものを除く。)

26)第1条第5号イからニまでに掲げる容器のうち、第一種圧力容器以外のもの(ゲージ圧力0.1メガパスカル以下で使用する容器で内容積が0.01立方メートル以下のもの

及びその使用する最高のゲージ圧力をメガパスカルで表した数値と内容積を立方メートルで表した数値との積が0.001以下の容器並びに船舶安全法 の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法 、高圧ガス保安法 、ガス事業法 又は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 の適用を受けるものを除く。)

27)大気圧を超える圧力を有する気体をその内部に保有する容器(第1条第5号イからニまでに掲げる容器、第二種圧力容器及び第7号に掲げるアセチレン発生器を除く。)で、内容積が0.1立方メートルを超えるもの(船舶安全法 の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法 、高圧ガス保安法 又はガス事業法 の適用を受けるものを除く。)

28)要求性墜落制止用器具(墜落による危険を防止するためのものに限る。)

29) チェーンソー(内燃機関を内蔵するものであって、排気量が40立方センチメートル以上のものに限る。)

30)ショベルローダー

31)フォークローダー

32)ストラドルキャリヤー

33)不整地運搬車

34)作業床の高さが2メートル以上の高所作業車

34)作業床の高さが2メートル以上の高所作業車

 

 

 

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