· 

事例問題 休業補償給付

最近の社労士試験の特徴として、具体的な事例問題が出題されるケースが多くなってきています。

 

下記の場合、労働者災害補償保険法からいくら支給されるのか?

実務でも十分にあり得る内容です。

まずは、自力で挑戦してみてください。

 

又は、シンプルな事例ですが、下記の知識が必要になります。

● 労災保険には、保険給付である休業補償給付と特別支給金が支給される。

● 給付基礎日額の算定方法

● 端数処理の方法(今回の事例では、給付基礎日額の端数処理と支払期ごとの端数処理)

 

事例

● 月額20万円の賃金

● 賞与年間50万円

● 算定事由が10月20日に発生

● 賃金締切日が毎月末日

 

 

答えは、5,217円になります。

 

 

それでは、解説をしていきます。

まずは、保険給付である休業補償給付として、休業1日につき、給付基礎日額の60%が支給され、さらにその上乗せの給付として特別支給金から休業特別支給金が給付基礎日額の20%が支給されます。

 

休業補償給付は、賞与に関するボーナス特別支給金の規定はないので注意が必要です。

事例では、賞与が年間50万円とありますが、休業補償給付に関する給付はありません。

 

保険給付

特別支給金

休業補償給付

休業特別支給金

ボーナス特別支給金

給付基礎日額の60%

給付基礎日額の20%

規定なし

 

 

 

次に、給付基礎日額の計算方法です。


給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。

平均賃金とは、原則として、事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。

(「賃金」には、臨時的支払われた賃金、賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。)

事例の場合は、10月20日に算定事由が発生しているので、直近の賃金締切日は、9月30日になります。

 

上記の事例での給付基礎日額は、
20
万円×3か月÷92日(7月:31日、8月:31日、9月:30日)≒6,52173銭となります。

 

ここで、端数処理ですが、

給付基礎日額に1円未満の端数がある場合は、これを1円に切り上げる。

ということで、給付基礎日額は、6,522円になります。

 

次に、1日当たりの給付額を計算すると、

休業補償給付

休業特別支給金

6,522×0.63,91320

6,522×0.21,30440

 

支払金額に関する端数処理は、1円未満切り捨てになるので、
3,913
円+1,304円=5,217
ということになります。

 

いかがだったでしょうか?

1つずつの内容は、基本的な事項ですが、なかなか手ごわい事例ではないかと思います。

 

具体例で流れを把握しながら、学習するのも1つの方法です。

 

最後に労災保険法の端数処理のまとめです。

 

 

[端数処理]

対象額

端数処理

給付基礎日額

(労災法8条の5)

給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、

1円に切り上げる

支払期ごとに支払われる支払金額

(国等の債権債務等の金額に端数計算に関する法律)

支払期ごとに支払われる金額に1円未満の端数があるときは、1円未満は切り捨てる

 

 

 

ダウンロード
労働者災害補償保険法 休業補償給付.pdf
PDFファイル 116.2 KB