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平成29年版 厚生労働白書 非正規雇用 p204、205

1 非正規雇用の現状と対策

(1) 非正規雇用の現状と課題

近年、有期契約労働者やパートタイム労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者は 全体として増加傾向にあり、2016(平成28)年には2,023万人と、雇用者全体の約4割 を占める状況にある。

 

しかし、これらは、高齢者が増える中、高齢層での継続雇用により非正規雇用が増加していることや、景気回復に伴い女性を中心にパートなどで働き始める労働者が増加していることなどの要因が大きい。

 

高齢者や学生アルバイトなど、非正規雇用の全てが問題というわけではないが、正規雇用を希望しながらそれがかなわず、非正規雇用で働く者(不本意非正規)も15.6%(2016 年)存在し、特に25~34歳の若年層で24.3%(2016年)と高くなっている。

 

非正規雇用の労働者は、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会が乏しいなどの課題がある。こ のため、正規雇用を希望する非正規雇用労働者の正規雇用化を進めるとともに、雇用の安定や処遇の改善に取り組んでいくことが重要である。

(2)非正規雇用の労働者への総合的な対策の推進

[正社員転換・待遇改善の推進]

正社員を希望する方の正社員転換や非正規雇用を選択する方の待遇改善を推進するため、「正社員転換・待遇改善実現プラン」(2016(平成28)年1月正社員転換・待遇改善 実現本部決定)や「地域プラン」(2016年3月までに都道府県労働局本部にて決定)に基 づき、非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善を強力に推進している。

 

これらの施策の うちの1つであるキャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化、人材育成、処 遇改善の取組みを図る事業主に対して助成を行っており、2017(平成29)年4月からは、 正規雇用労働者と共通の諸手当制度を非正規雇用労働者に適用した事業主に対する助成を新設する等、拡充を行っている。

 

また、どの働き方を選択してもしっかりした処遇を受けられるようにし、人々が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選べるようにすべく、同一労働同一賃金の実現に取り組むことが重要である。

 

このため、2016年12月に「同一労働同一賃金ガ イドライン案」が公表された。これは、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないかが示されたものである。

さらに、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)では、 ガイドライン案の実効性を担保するため、その根拠を整備する法改正を行うこととされて いる。今後は実行計画に基づき、関連法案を早期に国会に提出することとされている。

ガイドライン案については、関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて最終的に確定し、改正法の施行日に施行することとされている。

 

加えて、企業における非正規雇用労働者の待遇改善を支援するため、2017年度より全都道府県に「非正規雇用労働者待遇改善支援センター」を設置し、労務管理の専門家によ る個別相談援助や電話相談等を実施する。

フリーターなどの就職支援のため、「わかものハローワーク」(2017年4月1日現在28 か所)等を拠点に、担当者制による個別支援、正社員就職に向けたセミナーやグループ ワーク等各種支援、就職後の定着支援を実施しており、2016年は約30.8万人が就職し た。

また、ニート、フリーターなどの職業経験、技能知識の不足等から安定的な就職が困難な求職者について、正規雇用化等の早期実現を図るため、これらの者を公共職業安定所等の紹介を通じて一定期間試行雇用する事業主に対して助成措置(トライアル雇用助成金)を講じているところである。

さらに、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)を受けて、職務、 勤務地、労働時間に着目した「多様な正社員」モデルの普及・促進を図るため、2013 (平成25)年9月から開催した「「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会」において取りまとめられた、多様な正社員の「雇用管理上の留意事項」について、周知を行った。

 

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対策白書対策平成29年度厚生労働白書p204 非正規雇用の現状と.pdf
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