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十和田観光電鉄事件

労働基準法7条公民権行使の保障に関する判例です。

 

(平成23年 1C)

公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に付する旨の就業規則条項は、公民権行使の保障を定めた労働基準法第7条の趣旨に反し、無効のものと解すべきであるとするのが最高裁判所の判例である。

[解説] 社労士試験では、外してはいけない有名な判例です。

 

[事件の概要] 従業員が市議会議員選挙に立候補して、当選。

従業員は、市議会議員に就任し、会社に休職扱いの申し出をしたが、会社側は就業規則の規定に基づき、従業員を解雇して争った事件

 

[判決]…従業員勝訴

 使用者の承認を得ないで公職に就任した者を懲戒解雇とする旨の就業規則の条項は、法 7 条 の公民権行使の保障に反し無効

 

[最高裁判所の判例]

公職の就任を、会社に対する届出事項とするにとどまらず、使用者の承認にかからしめ、しかも それに違反した者に対しては制裁罰としての懲戒解雇を課するものである。

 

しかし、労働基準法 7 条が、特に、労働者に対し労働時間中における公民としての権利の行使 および公の職務の執行を保障していることにかんがみるときは、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の前記条項は、右労働基準法の規定の趣旨に反し、無効のものと解すべきである。