· 

社労士 

〔問  2〕 労働基準法の適用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは、後記

AからEまでのうちどれか。

(ア) 何ら事業を営むことのない大学生が自身の引っ越しの作業を友人に手伝ってもらい、その者に報酬を支払ったとしても、当該友人は労働基準法第9条に定める労働者に該当しないので、当該友人に労働基準法は適用されない。

 

(イ) 法人に雇われ、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者については、法人に使用される労働者であり労働基準法が適用される。

 

(ウ) 同居の親族は、事業主と居住及び生計を一にするものとされ、その就労の実態にかかわらず労働基準法第9条の労働者に該当することがないので、当該同居の親族に労働基準法が適用されることはない。

 

(エ) 株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

 

(オ) 工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

 

A (アとウ) B (アとエ) C (イとエ)

 

D (イとオ) E (ウとオ)


労働基準法 問2ア 正解

(ア)何ら事業を営むことのない大学生が自身の引っ越しの作業を友人に手伝ってもらい、その者に報酬を支払ったとしても、当該友人は労働基準法第9条に定める労働者に該当しないので、当該友人に労働基準法は適用されない。

【解説】

 労働基準法の「労働者」は、

職業の種類を問わず事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と定義されています。

 

設問の友人は、事業又は事務所に使用される者ではないので、法9条の「労働者」に該当しないため、労働基準法は適用されません。


労働基準法 問2イ 誤り

(イ)法人に雇われ、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者については、法人に使用される労働者であり労働基準法が適用される。

解説】

労働者には該当せず、労働基準法は適用されません。

家族の指揮命令カ下での家事一般では、労働基準法上の労働者には該当しません。

 

【POINT】

(全部適用除外)

①同居の親族のみを使用する事業

②家事使用人

③一般職の国家公民(行政執行法人の職員を除く)

 

(一部適用除外)

④一般職の地方公務員

⑤船員法に規定する船員


労働基準法 問2ウ 誤り

(ウ)同居の親族は、事業主と居住及び生計を一にするものとされ、その就労の実態にかかわらず労働基準法第9条の労働者に該当することがないので、当該同居の親族に労働基準法が適用されることはない。

【解説】

 同居の親族以外の他人を1人でも使用する場合は、適用事業になります。

 

【POINT】

・全員が同居の親族の事業…労基法は適用されない。

・同居の親族の中に他人が使用される場合…労基法適用。


労働基準法 問2エ 正解

(エ) 株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

【解説】

 法人の重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労基法の労働者に該当するので正解です。


労働基準法 問1オ 誤り

(オ)工場が建物修理の為に大工を雇う場合、そのような工事は一般に請負契約によることが多く、また当該工事における労働は工場の事業本来の目的の為のものでもないから、当該大工が労働基準法第9条の労働者に該当することはなく、労働基準法が適用されることはない。

【解説】

 大工であっても、請負契約ではなく、雇用契約によりその事業主と大工との間に使用従属関係が認められる場合は、法第9条の労働者に該当し、労働基準法の適用を受けます。