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社労士 平成29年 労働基準法 問1 

〔問  1〕 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)1か月単位の変形労働時間制により、毎週日曜を起算日とする1週間について、各週の月曜、火曜、木曜、金曜を所定労働日とし、その所定労働時間をそれぞれ9時間、計36時間としている事業場において、その各所定労働日に9時間を超えて労働時間を延長すれば、その延長した時間は法定労働時間を超えた労働となるが、日曜から金曜までの間において所定どおり労働した後の土曜に6時間の労働をさせた場合は、そのうちの2時間が法定労働時間を超えた労働になる。

 

(B)1か月単位の変形労働時間制により、毎週日曜を起算日とする1週間について、各週の月曜、火曜、木曜、金曜を所定労働日とし、その所定労働時間をそれぞれ9時間、計36時間としている事業場において、あらかじめ水曜の休日を前日の火曜に、火曜の労働時間をその水曜に振り替えて9時間の労働をさせたときは、水曜の労働はすべて法定労働時間内の労働になる。

 

(C)労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り、一斉に与えなくてもよい。

 

(D)労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 

(E)休日労働が、8時間を超え、深夜業に該当しない場合の割増賃金は、休日労働と時間外労働の割増率を合算しなければならない。


平成29年労働基準法 問1A 正解

(A)1か月単位の変形労働時間制により、毎週日曜を起算日とする1週間について、各週の月曜、火曜、木曜、金曜を所定労働日とし、その所定労働時間をそれぞれ9時間、計36時間としている事業場において、その各所定労働日に9時間を超えて労働時間を延長すれば、その延長した時間は法定労働時間を超えた労働となるが、日曜から金曜までの間において所定どおり労働した後の土曜に6時間の労働をさせた場合は、そのうちの2時間が法定労働時間を超えた労働になる。

【解説】法32条により正解。

1か月単位の変形労働時間制は、あらかじめ、労働日ごとの労働時間を固定しておくことが前提です。

設問では、途中で延長しているので、法定労働時間を超えた労働になります。


平成29年労働基準法 問1B 誤り

(B)1か月単位の変形労働時間制により、毎週日曜を起算日とする1週間について、各週の月曜、火曜、木曜、金曜を所定労働日とし、その所定労働時間をそれぞれ9時間、計36時間としている事業場において、あらかじめ水曜の休日を前日の火曜に、火曜の労働時間をその水曜に振り替えて9時間の労働をさせたときは、水曜の労働はすべて法定労働時間内の労働になる。

【解説】水曜日の1日8時間の法定労働時間を超えた1時間に対して割増賃金が発生するので誤りです。

 

問題文では、休日振替により特定された週を変更しているので、1か月単位の変形労働時間の恩恵を受けることはできません。


平成29年労働基準法 問1C 誤り

(C)労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り、一斉に与えなくてもよい。

【解説】法34条2項(休憩)により誤り。

(原則)休憩時間を事業場の全労働者に一斉に与えなければならない。

(例外)労使協定(届出不要)を締結した場合は、一斉に与えなくてもよい。

 

(特例)一斉付与の原則の適用除外

下記の事業(公衆の便宜が必要な事業が該当)は、当然に一斉に付与する必要はない。

①運輸交通業 ②商業 ③金融・広告業 ④映画・演劇業 ⑤郵便通信業

⑥保健衛生業 ⑦接客娯楽業 ⑧非現業の官公署の事業


平成29年労働基準法 問1D 誤り

(D)労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

【解説】

法35条1項(休日)により誤り。

休日は、暦日であり、暦日とは、労働基準法では「午前0時から24時までの24時間」を指します。

起算時点を問わないとしたところが誤りになります。


平成29年 労働基準法 問1E 誤り

(E)休日労働が、8時間を超え、深夜業に該当しない場合の割増賃金は、休日労働と時間外労働の割増率を合算しなければならない。

【解説】

法37条(時間外、休日、深夜業の割増賃金)により誤り。

 

休日労働と時間外労働を合算する規定はないので誤りになります。

休日労働の際に時間外に及んだ場合でも、3割5分以上の割増賃金で足ります。

休日労働が深夜業に及んだ場合には、6割以上の割増賃金が必要になります。