年金受給額減額の仕組み№3
前回の続きです。
本来ならば、物価の変動に応じて年金の受給額が上下するところを、年金の受給額は据え置かれて2.5%高止まりの状態のままでした。
ようやく、平成25年10月より3回に分けて、2.5%減額されて正常な受給額に戻ります。
正常な姿になった先に何があるかと言うと、さらに実質価値が低下する仕組み『マクロ経済スライド』が待ち受けています。
これから、ますます少子高齢化が進み、保険料を納める現役世代が減少し、年金受給者が増え、平均寿命も延びていく状況になっていきます。
従来は、物価や賃金の変動に応じて年金の受給額が決定されていましたが、2004年(平成16年)に、現役世代の減少と平均寿命の延びの割合に応じて年金の水準を引き下げて行く『マクロ経済スライド 』という改定方法を導入しました。
このマクロ経済スライドは、特例水準(2.5%の高止まり)を解消しないと実施できないため、過去一度も実施されていません。
ただし、来年4月以降は、特例水準も解消されるため、物価等の動向により実施される可能性もでてきます。
このマクロ経済スライドが実施されると、受給中の年金額から『調整率』を差し引くため実質的には価値は低下していきます。
調整率とは、現役世代の減少と平均余命の伸びの割合に応じて決定され、当面0.9%程度と見込まれています。
具体的に、物価が1.5%上がると以前であれば年金額も1.5%増えるところ、マクロ経済スライドが適用されると、1.5%から調整率の0.9%を引いて0.6%しか増えない計算になります。
物価上昇率が0.5%だと、調整率の0.9%を引くと-0.4%になりますが、そこまではせずに、0%までしか下げずに年金額を据え置くことになっています。
つまり、物価が調整率を超えない限り年金額が据え置かれることになり、物価は上がるけど年金の受給額はそのままで実質価値が下がることになります。
以上が年金の受給額の減額の仕組みについての解説です。